大学最後の栄冠へ、あと2つだ。上武大・吉野光樹投手(4年=九州学院)が7回2安打1失点。バッテリーを組んだ日本ハム3位古川から「いつもより直球がいい」と言われ、ぐいぐい真っすぐで押した。最速149キロ右腕は、7回まで10奪三振。明治神宮大会は中止となったが「大学最後の大会なので、集大成として関東一をチームみんなで目指しています」と、4強入りに口元を引き締めた。

熊本・菊陽町出身。高3の4月、熊本地震に襲われ、自宅も損害を受けた。「このまま、野球をやっていいのだろうか」と悩んだが、「やっていいよ」と親が背中を押してくれた。郷里を離れ、上武大に進んだ。

大学からのプロ入りはかなわなかったが、古川に、阪神3位の佐藤と、ともに4年間を過ごした仲間がドラフト指名を受けた。「目の前で2人も。刺激になります。2年後、プロにいって、親に恩返ししたい」と社会人野球で、さらなる成長を誓う。

もう1つの刺激が、高校の1学年後輩のヤクルト村上だ。「あんなに活躍していて、負けられない気持ちにさせてくれます」と目を輝かせた。自分もプロに入り、また同じチームでプレーしたい気持ちと、対戦したい気持ちと、両方あるという。「対戦しても投げるところがありませんね」と笑顔で話した。将来の青写真を描きつつ、今は大会優勝を目指す。