怪力ルーキーや! 阪神ドラフト1位の近大・佐藤輝明内野手(21)が18日、母校の仁川学院(兵庫)でプロ入りの報告会を行った。まだ無名だった高校時代に防球ネット越え弾、校舎の窓ガラス破壊弾など怪力エピソードを連発。新人王を目標に掲げるスラッガーが、プロの世界でも伝説の1発をぶちかましていく。

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在校生約200人の前で、佐藤輝が堂々と言い切った。「自分の才能を信じて、やるべきことをやれば結果は出ると証明できた」。甲子園出場経験はなく、3年の夏も県大会初戦でコールド負け。それでもアマNO・1スラッガーと呼ばれるまでになった。その片りんを物語る怪力伝説が、報告会で次々と明らかになった。

今でこそ187センチ、94キロの体格を誇るが、入学時は細身の65キロ。ジム通いで体を大きくし、3年になったある日。同校グラウンドの一塁側ファウルゾーンから、左翼方向へ木製バットでロングティーを行うと、打球は防球ネットを越えて道路へ飛び出した。推定150メートル弾。「僕は覚えていないですけど…友達が言っていました」。危険と判断した学校から「ロングティー禁止令」が発令された。

逸話は終わらない。ある自主練習日。こっそり三塁側ファウルゾーンからロングティーを行った。パワーを抑えるため、折れてテーピングを施した木製バットを使用したが、今度は校舎3階の窓ガラスを割った。「ガラスを割ったのはけっこう印象に残ってます。ご迷惑をおかけしました」。苦笑いで5年越しに謝罪した。高校で土台を築き、近大では関西学生リーグで14本塁打を放ち、リーグの通算本塁打記録を22年ぶりに更新。阪神からドラフト1位指名され、背番号8を任されるまでになった。

報告会はトークショー形式で行われ、兵庫・西宮市出身の佐藤輝は幼少時から虎党だったと明かし、印象に残る選手に同じ左の長距離砲の金本知憲氏を挙げた。「すごいホームランバッターだなって思ってました。甲子園でどうやってホームランを打つか、どういう心構えなのかを知りたい」。05年に浜風をものともせず40本塁打を放ったアニキにアドバイスを懇願した。対戦したい投手には即答で「(巨人)菅野さんです」と球界のエースを挙げた。

1年目の目標は新人王。母校への野球道具の寄付も考えている。「ボールは必要。ボールとかバットとかそういうものが一番いいかなと」。スケールのでかい先輩が、仁川学院の星になる。【只松憲】