阪神糸井嘉男外野手(39)が9日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、減額制限(1億円超は40%)オーバーとなる54%減の年俸1億8500万円プラス出来高払いの単年契約でサインした。2億1500万円の減額は球団史上最大となった。来季は近大の後輩でドラフト1位佐藤輝や新助っ人ロハスの加入で外野争いは激戦。来季チーム最年長40歳を迎える糸井はチャレンジ精神でレギュラー確保に挑む。(金額は推定)

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糸井が球団史上最大の減俸を受け入れた。2億1500万円ダウンの年俸1億8500万円プラス出来高払いの単年契約でサイン。今季の4億円から54%減で減額制限を超えた。「かなりのコロナショックです」と糸井節で心境を明かした。それでも納得した表情で「今年は規定にも乗ってないし、ベンチにいる機会も多かった。アカンかったらこうなる世界。その中でもそれなりの評価をもらって契約もいただいた。本当にありがたい」と球団への感謝を口にした。

4年契約最終年だった今季は右膝痛の影響で86試合の出場に止まった。打率2割6分8厘、2本塁打、28打点はいずれも移籍後ワースト。悔しいシーズンを振り返り、「控えの経験もあまりなかったので、後からいく難しさも分かった。その中でレギュラーで出ている人はすごいとも思った。僕もまた試合に全部出られるように、チャレンジしていきたい」と逆襲を誓った。

来季は近大の後輩でドラフト1位の佐藤輝が外野争いに加わる。「(大学がある)生駒の山奥で頑張ってきた後輩なので、思い切ってやってくれたら」と先輩の立場でエールを送った。ただ、大筋で合意した新助っ人ロハスらを含めレギュラー争いは激しくなるが「もう1回体を万全にして、チャンスをいただいた。思いきりぶつかっていきたい」と負けるつもりはない。

刺激もあった。日本ハムでチームメートだった新庄が48歳で12球団合同トライアウトに参加。現役復帰を目指す姿を見て「何歳になってもいろんなことにチャレンジしていく精神、姿を見たら、すごく刺激を受けました」と、勇気をもらった。

来季はチーム最年長という立場にもなる。これまで最年長で引っ張っていた福留を手本とし、「若い子たちにも伝えられるような選手になっていきたい」と、表情を引き締めた。「優勝したいと思ってタイガースに来た。矢野監督を来年、絶対に胴上げできるように。それだけです」。このままでは終わらない。超人の新たな挑戦が始まる。【奥田隼人】