今季のタイトル獲得者らを表彰する「NPB AWARDS 2020 supported by リポビタンD」が17日、行われ、最優秀新人(新人王)にパ・リーグは西武平良海馬投手(21)、セ・リーグは広島森下暢仁投手(23)が選ばれた。壇上に上がった両右腕は、ともに力強くさらなる飛躍を誓った。

   ◇   ◇   ◇

2カ月前にオーダーして新調したスーツに、チームカラーの青のネクタイを合わせ、緊張した面持ちで登壇した。最優秀新人賞に輝いた西武平良は、マウンドでの堂々たる投球姿とは打って変わり、ガチガチで肩に力が入りながら「この賞に恥じないように、来年もみなさんに感謝しながら頑張っていきたいと思います」。今季は中継ぎとして54試合に登板。1勝0敗33ホールド1セーブ、防御率1・87と抜群の安定感を評価された。シーズン途中からセットアッパーを任され、無敗で3年目シーズンを走り抜けた。

沖縄県出身選手では同賞初受賞の160キロ右腕に、弟子入り志願者が後を絶たない。今季は7月19日楽天戦(楽天生命パーク)で、日本人選手6人目となる160キロを記録した。昨季、地方球場でマークした158キロから着実に球速アップ。今オフの自主トレで同行する先輩の高橋からは「平良先生がいるので、スピードの出し方を知っている方なので弟子入りしたいなと思います」と申し出を受けた。さらに筋力アップで肉体改造中の今井は「平良が詳しいので遠慮なく聞いています」。ドラフト1位でエース候補の“兄弟子”2人も取れなかった新人王のタイトルが、さらに平良の箔(はく)を付ける。

西の横綱からも厳重マークされた。今季のソフトバンク戦は9登板で計8回2/3を無安打無失点に抑えた。MVPを獲得した柳田は4打数無安打2三振。この日の舞台裏では「球速いね」と声をかけられ、来季一番対戦したい投手として「平良投手は本当に打ったことがないので、来季こそ打ちたいなと思います」とターゲットにされた。がっぷり四つで組み合った力と力の対決が、令和の名勝負となる可能性は十分ある。「フルスイングしてくるので負けないように力強く。ホームランを打たれないように頑張ります」。日本最速165キロも視野に入ってくる。

来季もセットアッパーを託される平良。金星を積み上げ、新人王から東の横綱へ成り上がる。【栗田成芳】

◆新人王の資格 支配下選手に初登録後5年以内で、前年までの通算成績が投手は30イニング、打者は60打席以内の選手。プロ野球担当記者の投票で選出される。3年目の平良は昨季まで通算24イニングだった。3年目以上の新人王は通算9人目。

◆平良海馬(たいら・かいま)1999年(平11)11月15日、沖縄県石垣市生まれ。八重山商工では1年春からベンチ入り。2年秋からエースも甲子園出場なし。17年ドラフト4位で西武入団。2年目の19年に1軍デビューし、同年8月30日ソフトバンク戦でプロ初勝利。173センチ、100キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。