ついに「ハヤト塾」入門だ。阪神北條史也内野手(26)が15日、国内で行われている巨人坂本勇らとの合同自主トレを公開した。光星学院(現八戸学院光星)の6学年先輩にあたるスタープレーヤーと初めてトレーニングを共にして、早くも金言もゲット。勝負のプロ9年目へ、闘志むき出しで二遊間レギュラー争いで勝ちにかかる。

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目の前には、尊敬してやまないレジェンドがいる。ぜいたくな時間を1秒たりとも無駄にはできない。走る時も守る時も打つ時も、北條は宿敵巨人の主将坂本勇に鋭い視線を送り続けた。

自主トレ公開後は球団を通じて取材対応。「技術的なことなので具体的には言えないですけど、キャッチボールでも守備でも打撃でも、1つ1つの動きや意識についていろいろとアドバイスしてもらっています。本当にありがたいですし、すべてを吸収したい」。言葉の端々から、隠しきれない充実感がにじみ出た。

昨年1月までは5年連続でヤクルト山田哲の合同自主トレに参加。走攻守すべての極意を学び、地道に成長を続けてきた。ただ昨季はけがもあり、ここ5年で最少の40試合出場で打率1割9分2厘、2本塁打。「何かを変えたい」-。頼ったのは高校時代の大先輩だった。

後輩にとって、坂本勇は今も憧れの存在であり続ける。プロ入団時には、体の後方から上げられるトスを打つティー打撃を参考にしたこともある。先輩は昨季、右打者史上最年少で通算2000安打を達成。希代の好打者からヒントをもぎ取るため、満を持して「入門」を決めた。

この日は朝から体幹トレ、ランニング、ノック、打撃練習などで体をいじめ抜いた。坂本勇によればメニューには日本ハム西川直伝のジャンプ系トレなども取り込まれており、一流のエキスを吸収している真っ最中だ。「シンプルに技術を磨け」。合同トレ中にかけられた一言を胸に、貴重な時間に集中している。

背番号が2から26となって勝負を懸ける21年。二遊間レギュラー争いでは糸原や木浪、小幡らライバルに事欠かないが、もちろん負けるつもりはない。「背番号や自主トレなどいろいろと変わりますけど、それがすべていい方向に行くと信じて、思い切りやっていきます」。死に物狂いで居場所を取り戻しにかかる。【佐井陽介】

◆北條の歩み 16年にブレーク。不調が続いた鳥谷に代わって遊撃で41試合に先発出場するなど、122試合に出場した。高卒4年目以内では藤田平、掛布雅之、新庄剛志に続いて4人目のシーズン3桁安打となる105安打。打率も2割7分3厘と安定した。17年は遊撃で57試合先発も打率2割1分と苦しみ、18年は出場試合数を減らした。19年にはルーキー木浪とポジションを争い、木浪の遊撃先発88試合に対して、北條は37試合どまり。昨季は腰痛もあって木浪、小幡に出場機会を奪われ、遊撃先発9試合に終わった。