新潟医療福祉大・野球部の伊藤開生投手(4年)が今春、社会人野球のロキテクノ富山入りする。2月1日には早くも富山入りして、チームに合流。大学野球から次のステップを企業チームに決め、目標のプロ入りを狙う。最速148キロ右腕はNPB入りへ、新しい環境からチャレンジする。

187センチの伊藤の全身に詰まった思いは言葉になってあふれ出した。「球速を150キロの大台に乗せ、決め球も作りたい。調子の波が少ない、安定した投手になりたい」。最速148キロの右の剛腕は昨秋10月のNPBドラフト会議で指名漏れ。当時の悔しさが社会人野球に進むためのモチベーションだ。プロ入りの思いは失っていない。

12年発足のロキテクノ富山は1日にクラブチームから会社登録の企業チームに変わったばかり。「勢いがあるチーム」と伊藤は言う。新潟医療福祉大の先輩3人が所属しているのも進路選択を後押しした。投手出身のロキテクノ富山・藤田太陽監督(41)はプロ経験者(阪神、西武、ヤクルト)だけにプロ入りを目指す伊藤にとってメリットになる。「コミュニケーションを取りたい」と教えを吸収して成長につなげるつもりだ。

大学ではスプリットを決め球にしたが“機能”しない場面もあった。「決め球が1つだけでは厳しい。見送られてカウントを悪くするシーンがあった」と言う。だからこそ急務は、新たな決め球の会得。思い描く「武器」はシンカーとチェンジアップだ。コロナ禍で20年の関甲新学生リーグ1部は秋季リーグだけの開催で個人成績は1勝3敗。「試合を作って、勝てる投手にならなければならない」と実績にもこだわる。

新潟医療福祉大の鵜瀬亮一監督(40)は「肩甲骨周りが柔らかい。力感のないフォームから力感以上の真っすぐが来る」と直球を評価する。持ち味の直球の球威を上げ、決め球を磨くのが社会人野球1年目のテーマ。「臨機応変な投球をして、ピンチにはギアを上げられる投手になりたい」。プロ入りへ、言葉に決意が満ちていた。【涌井幹雄】

◆ロキテクノ富山 株式会社ロキグループが運営する社会人硬式野球チーム。12年2月に設立されたクラブチームで、21年1月からJABA認定の会社登録の企業チームに。活動拠点は富山県上市町。NPBや独立リーグ出身者を積極的に採用し、昨季は28人が在籍。監督には今季から元ヤクルトの藤田太陽氏が就任。

◆伊藤開生(いとう・かいせい)1998年(平10)5月30日生まれ、東京都出身。野球を始めたのは小2から。成城高(東京)では1年秋から背番号1を背負った。球種は直球にスライダー、カーブ、スプリット、カットボール。187センチ、85キロ。右投げ左打ち。血液型B。