進撃の宇宙人が名探偵と化した。巨人にFA加入した井納翔一投手(34)が、沖縄・那覇でのS班キャンプ2日目の7日、移籍後初めてユニホーム姿でブルペン入りした。炭谷を相手に45球を投じた。188センチと見た目は大人ながら、野球少年のようなピュアな探求心でチームメートを捜査。古巣DeNAとの開幕カードでの新天地デビュー登板にも意欲を見せた。

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「名探偵イノウ」が自身の聞き取り捜査に動いた。那覇入り後初のブルペン投球の22球目。昨季から武器に加えたカットボールを2球続けた。決め球としてフォークを多投してきたが「それだけで勝負というのも厳しくなる。実際、丸から(カットボールが)『やっかいだ』と言われたので。1つに限らず、2つ、3つ、今キャンプで(武器に)できれば」と目をキラリと光らせてうなずいた。

人気アニメ「名探偵コナン」から意外な側面を自らの思考に取り入れている。「コナンと怪盗キッドの関係性が好きなんですよね。ライバル関係なのに、時には助け合ったりしているので」。主人公コナンと大怪盗の怪盗キッドの相関設定に着目した。この日、ブルペン投球前に鍵谷の投球を左後方から凝視。1軍の枠を争うという意味ではライバルだが、気づいたことは惜しみなく伝えていく。

見た目は大男、頭脳は…、心は少年のまぶしさがある。DeNA時代に50勝を積み上げて新天地に移籍。投手陣では大竹に次ぐ年長者だが、野球少年のように真っすぐな心でさらなる成長と高みを目指す。「今までの実績関係なく、新たに巨人での実績をたくさん作られるようにしていきたい」とはつらつと言った。

助け合ってきた旧友が今季からのライバルになる。3月26日からの開幕3連戦は古巣DeNAとの対戦が待ち受ける。正直に「投げたい(気持ちの)方が強い」と自身の気持ちを推理した。たった1つの真実を見抜く。「名探偵イノウ」が9年ぶり日本一奪回への謎を解く。【久永壮真】

◆名探偵コナン 週刊少年サンデーで連載中の青山剛昌氏の推理漫画。96年からはテレビアニメも放送されている。主人公の探偵工藤新一は黒の組織に毒薬を飲まされて子どもの体にされてしまう。正体を隠して江戸川コナンを名乗り元の体に戻るため、謎の組織に立ち向かう。優れた推理力と洞察力を持つ怪盗でライバルの怪盗キッドも人気。