阪神と日本ハム、米大リーグでプレーした新庄剛志氏(49)が12日、古巣阪神の沖縄・宜野座キャンプを電撃的に訪れた。昨年12月に12球団合同トライアウトを受けたがオファーはなく、現役復帰を断念。常に新しいことに挑戦する新庄氏が今回選んだのは日本ハム時代の06年以来、15年ぶりのキャンプ地訪問だった。日刊スポーツでは「新庄剛志 人生初キャンプリポート」と題して、3回にわたり独占で「新庄節」をお届けする。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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メンソーレ! 生暖かい風が吹いた沖縄は曇りでも気温は20度まで上がりました。ずっとバリ島に住んでたから東京は寒い。どの球団でも良かったけどテレビ番組の収録とはいえ取材先が偶然に阪神だったのは“赤い糸”ですかね。

現在の肩書? う~ん…。「フリーダムテイナー(自由な身のエンターテイナーの意味)」ってどう? 語呂がイマイチだね。今は肩書のない男ですよ。

人生初のキャンプリポートですが、まずポイントはこの衣装ですね。野球選手ってものはみんなに見られる存在で、憧れの的にならないと。そこを意識したオーラのある格好じゃないとダメなんですよ。

このスリーピーススーツ、オーダーメードなんです。それとハイネックのシャツはね、伝説の武道家で世界的スーパースターだったブルース・リーをまねしたの。あの時代でこのファッションができるのは格好いい。キャンプ用の礼儀です。

キャンプから感じたのは外野手の構えから全くダメね。力み感が強い。打者で目に付いたのはオオカワ君だっけ? 大山君か。足上げてボールを待つ、引き込む体勢を作って、あとはポイントをつかめばもっと長打が出るはずです。

ドライチの佐藤君はヒットじゃなくて、1球のファウルで分かった。この子は逆方向にも放り込めるって。バットのボールへの「入り」がバリー・ボンズ(米大リーグ最多762本塁打記録保持者)と似てますもん。おれ一振りで分かるのよ。そういう人間観察好きだから。

あのバットの軌道なら変化球がきても、ライトにも打てる。ボンズのようにバットを指2~3本空けて握れば、もっとボールが長く見られて、バットコントロールができて打率も稼げるんじゃないかな。

佐藤君の足と肩はどうなんだろうね。ぼくがセンターでレフトのボンズに「左中間の打球は任せとけ」と言ったら「なに言ってるんだこのつまようじ!」って言い返されたけど、おれの守備見たら「すごい」とうなったからね。新庄2世? それは相当無理(笑い)。

それとキャンプはホテルに帰って自分がどれだけやるかですよ。おれは人が寝てるときも練習した。監督、コーチにも見せてないから。おれの極秘練習を知ってるのは駐車場の警備員だけ。それぐらいしないと一流にはなれましぇん。

今年のプロ野球は巨人がソフトバンクに勝つかもね。分からないけど。まあ阪神には僕なりに思いがありますからね。チバリヨー!!(新庄剛志)

○…新庄氏はTBS系「S★1」(土、日曜深夜)の企画で人生初のインタビュアーを務めた。青シャツに黒スーツで現れ、メイン球場で糸井らのノック、その後はブルペン投球するスアレスらをチェック。福原、金村両投手コーチに遠めからアロハポーズであいさつする場面もあった。日本ハム時代の同僚糸井を相手にしたインタビューではトークに花を咲かせた。紅白戦の観戦中には同じく球団OBの亀山努氏と再会し、久々の「亀新コンビ」が実現した。この日の模様は番組内で放送される予定。

◆新庄剛志(しんじょう・つよし)1972年(昭47)1月28日生まれ、福岡県出身。西日本短大付から89年ドラフト5位で阪神に入団。00年オフFAで渡米し、メッツとジャイアンツに在籍。04年日本ハムに移籍。06年引退。日米通算1524安打、225本塁打、816打点、打率2割5分2厘。右投げ右打ち

◆バリー・ボンズ 1964年7月24日、米カリフォルニア州生まれ。85年ドラフト1巡目でパイレーツと契約。93年ジャイアンツ移籍。01年にシーズン最多本塁打73本。薬物疑惑が浮上し、メジャー歴代最多762本塁打を記録した07年に事実上引退。

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