高卒2年目の日本ハム上野響平内野手(19)が4日、本拠地初打席初スイングで初安打初打点を挙げた。西武戦(札幌ドーム)の9回2死三塁で、変化球を拾って中前に落ちる適時打。フルスイングができなかった打撃内容には反省も口にしたが、遊撃守備に定評のある新星が、開幕1軍入りへ好アピールした。

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うれしい結果にも、素直に喜べなかった。9回の守備から途中出場した上野には、その裏の2死三塁で打席が回った。「自分の弱さが出ちゃった」。札幌ドームでの初打席。ファーストストライクを積極的にスイングし、低めの変化球を拾って中前にポトリと落ちる適時打だが、本人は不満だった。

上野 当てにいく打撃になっちゃった。外の真っすぐに張っていたけど、当てにいく形になった。本当は、あそこで空振りできるような打者になっていきたい。もっと思い切った姿を見せたかった。

うまくバットに乗せてヒットゾーンに運んだが、自らが求める、そして求められている姿とは違うと感じていた。

試合後、別室で取材を受けた栗山監督は「『あれはヒットじゃありません。たまたま打ち損ないが落ちただけです』と言ってほしいけどね」と話していたが、まさに以心伝心のような受け答え。上野は「次の打席に今日の反省をつなげられると思う。経験としてはよかった」と理想を追求する糧とした。

安定感のある遊撃守備でキャンプ中に1軍昇格した。打撃は「苦手な部分」と話すが、指揮官は「守備だけでも勝負が出来る感じ。久しぶりだよね、ああいう選手。それに(打撃力が)くっついてくるようなら野心を持っていい」と太鼓判を押す。

1年前は1軍の雰囲気に緊張していた上野だが、開幕1軍、さらにその先を見据えて言える。「もう緊張もしていない。いつも通りのプレーができている。これを続けていけるように」。言葉に野心がこもっていた。【木下大輔】