肩の高さに抜けたチェンジアップを、下から上へかち上げた。西武山川穂高内野手(29)は、4回先頭の第2打席、完全にボールの高さだった3球目に体を起こされた…が、振り上げたバットは球を捉え、バックスクリーンまでオープン戦3号を運んだ。

「基本的に、ストライク打った方が確率は高い。でもストライクだけでいくと、打席に入って弱気になったり受け身になる。いけると思ったら何でもいく。ぶち込む意識でいきたい」。言葉にウソはなかった。

悪球打ちの根底には、余念なき準備があった。改修工事を終えた新メットライフドーム。初めての試合となった16日広島戦後、観客が帰路に就く中で打席に現れた。「去年メットライフドームで打てなかった。ホームゲームで一番、打ちたい。その確認ですね。景色を。イメージがわくようにやっている」。球団スタッフをマウンドに立たせ、右投げ左投げ、プレートの踏み位置も一塁側、三塁側と想定して、見え方を確認した。昨季10本だったホーム弾を、新球場で量産する。

4打席目の9回も、外角ボールゾーンへ逃げるスライダーを右前へ運び、ポテンヒットとした。19年には、低めのカーブを右膝が地面に着きながらスタンドへ運ぶ悪球打ちを披露している。規格外、でも裏打ちのある高め攻略打法を開幕1週間前に見せた。オープン戦は残り2試合となり「今は(オリックス開幕投手の)山本君に照準を合わせている。頭の中は山本君のイメージでいきたい」。山川からスキがなくなっていく。【栗田成芳】

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