巨人阿部慎之助2軍監督が率いる“アベンジャーズ”が出動する。同監督の42歳の誕生日にイースタン・リーグが開幕。4番に身長2メートルの超大型ルーキー秋広優人(18=二松学舎大付)を起用。試合前のスタメン発表で、いきなりのサプライズ抜てきでスタンドをどよめかせた。2軍の開幕投手は巨人が2年目左腕の井上温大。ヤクルトが金久保。両軍のスタメンオーダーは以下の通り。

【巨人】

1(指)陽岱鋼

2(二)平間

3(右)八百板

4(一)秋広

5(左)山下

6(三)広岡

7(中)立岡

8(捕)小林

9(遊)湯浅

【ヤクルト】

1(三)長岡

2(二)奥村

3(左)中山

4(中)松本友

5(一)吉田大成

6(指)赤羽

7(右)松井

8(捕)内山壮

9(遊)武岡

試合前にスタンドのファンを前に阿部2軍監督が両チームを代表してあいさつをした。「2021年シーズン、イースタン開幕します。まだ緊急事態宣言下の中、こうして開幕できることに感謝してます。そして今日、久しぶりにこんなにたくさんお客さんが入っていただいたこと、それにも感謝しております。ありがとうございます。そして医療現場で今もなお、最前線で苦労されている方がたくさんいらっしゃると思います。そういう方にもこの場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。長いようで短いシーズンではございますが、ぜひ、イースタン・リーグの球場にも足を運んでいただいて、プロ野球をみなさんで盛り上げていただけたらと思います。1年間ご声援をよろしくお願いいたします」。

 

2回先頭で秋広が打席に入った。カウント0-1からヤクルト金久保の直球に反応するも遊ゴロに倒れた。2死から広岡が死球で出塁。二盗を決めて、2死二塁に好機を拡大させるも、立岡が二ゴロに倒れて先制ならず。ヤクルトに先制を許し、1点を追う4回、無死一塁で秋広は二ゴロ併殺。攻めあぐねる。

5回にベンチの阿部2軍監督の千里眼が劣勢から優勢へと試合の流れを動かす。先頭の立岡が安打、小林が四球で無死一、二塁。9番打者湯浅は犠打でチャンス拡大だろう…。いや、違った。2球続けてボール。バントの構えはない。3球目はヒッティングしてファウル。カウント2-1からの4球目は三塁線へのセーフティーバントを試みるも、わずかにラインを割ってファイル。平行カウント。走者の立岡、小林がスタートを切った。「打ったのは真っすぐです。みんながつないでくれたチャンスだったので必死に打ちにいきました」と外角球に食らいつき左前適時打で同点。鮮やかなエンドランで勢いづけ、八百板の適時打で試合をひっくり返した。

伸び盛りの期待の2年目左腕が踏ん張りきれない。井上は直後の6回にヤクルト打線につかまる。中山を四球、松本友を左前打、吉田大成に犠打を決められて、1死二、三塁。赤羽にも四球を与えて、満塁の大ピンチ。下位打線の7番松井にカウント2-2からの直球を完璧に捉えられ、右越え満塁弾を食らった。井上は5回1/3、6安打5失点で降板。「開幕投手に指名していただいた事を意気に感じてマウンドに上がりました。5回までは自分らしい投球が出来たと思います。逆転していただいたのに自分が踏ん張りきれずにバトンを渡すかたちになり申し訳ない気持ちですし悔しいです」。2番手は古川がマウンドに上がった。

7回からは3番手として横川が登板し、3回無失点の好リリーフ。打線も粘る。8回に立岡の適時打と山瀬の併殺の間に1点ずつ返し、1点差に迫る。9回先頭の平間が死球で出塁。八百板、秋広が連続三振に倒れた。2死一塁で山下が三ゴロで1歩及ばず。アベンジャーズの2021年シーズン、公式戦は黒星からスタートした。【為田聡史】