1つ目の頂に王手! 阪神が20日、オリックス戦(京セラドーム大阪)で競り勝ち、オープン戦の首位をガッチリとキープした。21日に同カードの最終戦を制すれば、矢野阪神の「初優勝」が決まる。矢野燿大監督(52)が本番モードの采配で試合を動かした。同点の7回には代打糸井嘉男外野手(39)が決勝タイムリー。本番モードに突入した猛虎が、勢いそのままに21年の開幕を迎える。

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チーム最年長の一撃に虎ベンチがドッと沸いた。1-1の同点で迎えた7回1死一、三塁。代打で打席に立った39歳糸井が牙をむいた。カウント2-1からオリックス阿部の4球目、外角の変化球に腕を伸ばして食らいついた。打球は二遊間を破りセンターへ。しびれる場面での決勝タイムリーに、百戦錬磨のヒットマンも「本番さながらの気持ちで打ちました!」と興奮した。

シーズンを想定したような本番モードの試合だった。中盤まで青柳VS宮城の投手戦の様相だったが、6回に近本が均衡を破るタイムリーを放つと試合が動きだした。同点に追いつかれた7回には先頭佐藤輝が失策で出塁すると、矢野監督はすぐさま代走植田を送り込んだ。1アウト後に梅野の打席でエンドランを仕掛け、左前打で一、三塁とチャンスを拡大。ベンチからにらみを利かせていた糸井が、いぶし銀のスイングで試合を決めた。

派手さはなくても、しぶとく1点をもぎ取る。矢野監督も大きくうなずいた。「こういう試合が動きだして代走を送ったり、いろんなことをしていく中で、こういうメンバーが控えてくれてるというか、勝ちにつないでくれるというのも大きい。シーズンでもこれ(こういう試合)を取る、取れへんでは大きな差になる」。終盤に勝ち越した試合には、目指す野球が凝縮されていた。

21年版の猛虎打線は固まりつつある。実績十分の糸井だが、現状では開幕のベンチスタートが濃厚。シーズンでもまずは「代打の切り札」として競った局面で登場する機会が増えそうだ。糸井は「もうどういう場面でもしっかりやることしか考えてないんで」と頼もしい。矢野監督も「ヨシオが頑張ってくれるというのはチームに対する影響力がある」と目を細める。スタメンとベンチメンバーが一体となってオープン戦首位を走る矢野タイガース。5年ぶりのオープン戦優勝が目前だ。【桝井聡】

 

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