期待のホープがドキドキの初体験を終えた。高卒2年目の楽天武藤敦貴外野手(19)が3日、楽天生命パークでのオリックス2回戦に「8番右翼」でプロ初のスタメン出場。4打数無安打に終わるもプロ初盗塁を記録。50メートル走6秒の俊足で、ファンをわかせた。昨季は右肩の故障で1軍出場はなし。石井GM兼監督も素質を高く評価する19歳が、貴重な経験を積んだ。

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キラリと光る武器を披露した。2回2死一、三塁。一走の武藤が、辰己の4球目に思い切りよくスタートを切った。長い足を高速回転させて急加速。速度を落とさずに二塁ベースへ左足を突き刺した。「自分なりのベストで良いスタートは切れたと思います。足が売りなのでチャンスがあればどんどんトライしていきたいです」。持ち味を存分に発揮した。

走攻守に秘める素質は天井知らずだ。都城東(宮崎)から19年ドラフト4位で入団。この日見せつけた脚力に遠投110メートルの強肩、高校通算17本塁打のパンチ力も兼ね備える。昨季は1軍での紅白戦で一塁への帰塁の際に右肩を故障し1軍未出場。2軍でも3試合出場と、悔しい1年に終わった。それでも、将来性を買われ、今季は1軍キャンプに抜てきされた。オープン戦でも12打数4安打、打率3割3分3厘とアピールし、開幕1軍スタートをつかんだ。

巡ってきたチャンスを生かした。外野のレギュラーを争う小郷が足をひねり、大事をとって試合前練習から姿を見せなかった。石井GM兼監督は「小郷は出られる状況にはあるけど、今日はリカバリーをする判断。武藤のスタメンも見たかったので」と19歳を抜てき。「試合後に話したら『緊張しました。すみません』と。それがまず最初のステップだと思う。これから彼にはチームの先頭に立ってほしい選手なので、いい経験を積ませてあげられたら」と期待を込めた。

守備では強風の中、2度の守備機会も無失策。バットでは4打数無安打も、8回にはメジャー帰りのオリックス平野佳から中堅へ強い飛球を放った。「ミスをしないことが一番ですが、ミスしてもどっかで取り返すつもりでプレーしようと思いました。なかなか甘いボールが来ないので一発で仕留めることが必要だと実感しましたし、周りの状況をしっかり見て判断することが大事だなと感じました」。経験したこと全てが成長への貴重な財産。無限の可能性を秘めた未来のスター候補が、1歩を踏み出した。【相沢孔志】

◆武藤敦貴(むとう・あつき)2001年(平13)6月15日生まれ、福岡・北九州市出身。小学4年から東筑ファイターズで野球を始め、本城中では若松ダイナマイトクラブに在籍。都城東では1年春から投手でベンチ入り。2年冬から外野手に転向。甲子園出場なし。19年ドラフト4位で楽天に入団。昨季は1軍出場なし。家族は両親、兄。左投げ左打ち。178センチ、73キロ。愛称は、むーやん。

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