阪神ドラフト6位の中野拓夢内野手(24)がともにプロ初のタイムリーと猛打賞で3連勝に貢献した。

DeNA戦(横浜)に2試合続けて「8番遊撃」で先発。4回に左前打で追加点をもぎ取るなど全方位へ打ち分けた。チームは今季2度目の同一カード3連勝。貯金7で首位を快走する。13日からは2・5差をつけた2位広島を本拠地に迎え撃つ。甲子園でも頼むで、中野!

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一塁ベース上の中野が三塁側ベンチに向かって右拳を力強く突き上げた。2-0の4回1死三塁。DeNA先発阪口の146キロ直球を逆らわず左方向にライナーで流した。これがプロ初適時打。「追加点が欲しい場面で前のバッターの梅野さんがバントでつないでくれた。やってやろうという強い気持ちを持って打席に入ることができた。詰まりながらだったんですけど、うまく持っていけた」。同期の佐藤輝が二塁打で出て、梅野が送った場面。結果的に1点差勝ちだから、大きな一打となった。

プロ初先発で初打点、初盗塁を記録した前日10日に続いて「8番遊撃」で出場し、勢いを持ち込んだ。2回は阪口の速球を引っ張って一、二塁間を破り、9回も守護神三嶋の141キロフォークをすくい上げて中前打。「正直うれしいの一言です。スタメンで使っていただいたので、何としても活躍したいという強い気持ちを持って臨んで良い結果につながった」。柔軟に対応して全方向に3本を打ち分ける技術が光った。

ルーキーでは佐藤輝、伊藤将、石井大に続き、中野も存在感をグッと高めてきた。先発起用した矢野監督は活躍できる理由をこう分析する。「いまどきの感じがする。佐藤輝もそうやし、良い意味でマイペース。アイツのメンタル面の良い部分が影響している」。さらに「初めて対戦するピッチャーでもしっかり対応して自分のポイントで振れる強みは持っている」と技術と準備力を認め、さらに「二遊間の競争でも良い刺激になってくれている」とカンフル剤として期待した。

チームは今季2度目の同一カード3連勝、貯金7でがっちり首位を守った。13日からは2位広島と首位攻防戦。中野は初のヒーローインタビューでチームを代表して声を張った。「甲子園に戻ってもその連勝を止めずに頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いします」。もちろん自らも先発でその力になるつもりだ。小さい頃から阪神ファンで、中学時代に甲子園で華麗にプレーする鳥谷(現ロッテ)に憧れて遊撃手を始めた。「スタメンで出てナンボだと思っている。目標の新人王にもスタメンで出ないとたどり着けない」。聖地の新たな遊撃手を虎視眈々(たんたん)と狙っている。【林亮佑】

 

 

<中野拓夢(なかの・たくむ)アラカルト>

◆生まれ 1996年(平8)6月28日、山形県生まれ。

◆球歴 小学3年で野球を始め、中学時代は山形シニアでプレー。日大山形では二塁手で、2年夏の甲子園ベスト4。東北福祉大から三菱自動車岡崎に進み、昨年の都市対抗大会では阪神ドラフト2位伊藤将のいたJR東日本に初戦で敗れた。

◆家族 両親と兄、姉。

◆阪神ファン 両親とともに小さい頃から阪神ファンで入団を両親も喜んだ。

◆手本 「球際の強さが一番すごい」というロッテ鳥谷。中学時代には当時阪神ファンとして見ていた影響で遊撃をやり始めた。

◆対戦希望 巨人菅野。「球界を代表する投手。(20年に)連勝記録を作られた。そういう投手を打っていかないと通用しない」。

◆両打ち 東北福祉大では両打ちだった元西武の大塚光二監督の助言で3年時まで両打ちに取り組んだ。

◆守備 大学時代に遊撃手で1度、二塁手で2度ベストナイン。

◆座右の銘 「夢かなうまで挑戦」。高校の1年先輩のヤクルト奥村の影響。

◆趣味 社会人になって始めたゴルフで、右打ちでプレー。

◆好物 チンジャオロース。

◆好きな芸能人 相武紗季。

◆サイズ 171センチ、69キロ。右投げ左打ち。

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