動いて、もがいて、大きな節目に到達した。巨人が中日に今季初の同一カード3連勝を決め、原辰徳監督(62)は史上11人目の監督通算1100勝目を達成した。電光掲示板で表示を見ると、両手を広げて目を丸くした。「何かあったの、とは思ったんですけど。まったく気づいておりません」と優しく目尻を下げた。

試合では厳しい勝負師の顔に徹した。3点リードの3回2死。一塁走者が亀井、三塁走者は梶谷で、打者は6番大城。カウント1-1からの3球目、亀井が二塁へスタートを切った。捕手木下拓が迷わず二塁へ送球したのを見ると、梶谷が本塁へ駆けだした。次の1点が試合の行方を左右する局面。相手の隙を突く重盗で、主導権を完全に握った。視察した侍ジャパン稲葉監督の視線もくぎ付けにしたビッグプレーにも「彼ら2人(亀井と梶谷)のおかげですよ。僕は何も知らない」。さらりと選手をたてる所作に、経験豊富な名将の香りが漂った。

1996試合、指揮官として常に前を向き、もがいてきた。10日に12戦連続3得点以下の球団ワースト記録に並ぶも、翌日に梶谷を6番に動かすなど打線を改造。9得点で暗雲を払った。試合後、苦しい時には我慢も必要だったかと聞かれると「いや」と首を横に振った。「動かなきゃダメだよ。プロである以上ね。流されちゃいけない。動かなきゃ。もがいてね」。勝負どころでの重盗には臆せず自らを突き動かしてきた信念の一端がかいま見えた。

今季初の4連勝で貯金も最多の3。史上初の監督として3度目のリーグ3連覇への期待も膨らむが「まだまだ生まれたてのほやほやという気持ちで日々、臨んでおります」と結んだ。おごらず、怖がらず。まだまだ一歩ずつ、歩を進めていく。【浜本卓也】

▽巨人梶谷(1回無死二塁の適時打を含む移籍後初の4安打猛打賞)「調子が上がってきたというわけではないですが、徐々に自分の思うようなスイングが出来てきたのかなとは感じます」

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