右腕も左腕も問題アリマセ~ン! 阪神の新外国人メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)が1日、ウエスタン・リーグ広島戦(由宇)で公式戦初本塁打となる「左打席初アーチ」をかけた。「3番左翼」で先発。3回、右腕田中法からライナーで中堅フェンスをオーバーさせた。来日6試合目で初めてフル出場をクリアし、左打席で3安打&激走を披露。V奪回のキーマンが着々と1軍デビューへ歩を進めている。

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ロハス発のライナーは減速することなく伸びた。飛距離122メートルが記された中堅フェンス上部に向けて、一直線に突き進んだ。中堅手宇草が驚いたように落下地点の芝生を見つめる。仲間も思わず「メルー! 」と驚嘆する1発だった。

3回1死一塁、田中法の低め直球を強振。来日後初の「左打席アーチ」を2ランで決め「理想のスイングができた。コンタクトしたいポイントでとらえることができた」と喜んだ。

4月24日の2軍練習試合ホンダ鈴鹿戦で放った来日初アーチは右打席。来日してから左打席で計10打数1安打と快音から遠ざかっていた。それがこの日は左打席で猛打賞。「最近は左打席でのタイミングがズレていたけど、今日は修正できた」と納得顔だ。

1回1死一塁では田中法からライナーで中堅左に二塁打。8回には先頭で今村から左前に運び、続く4番井上の左中間適時二塁打でヘルメットが吹き飛ぶ激走ホームインまで披露した。

当初はすでに1軍初昇格している可能性さえあった。さまざまな要因が重なって山口・由宇にいる。

28、29日の2軍戦中止で打席を積めず、その間も1軍外国人枠を争うライバルたちが軒並み活躍。主軸のサンズ、マルテ、守護神スアレス、先発勝ち頭のガンケルに加え、チェンも好投で虎初星を手にしていた。

焦ってケガをさせたくない考えもあり、まだ1軍から声がかからない。それでも「シーズンを通して1軍で戦う準備を着実に行っている途中だから」と冷静でいられる心の強さがある。

この日は来日後6戦目にして初めてフル出場をクリア。2日には再び由宇の2軍戦にDH出場する。「状態は自分が想像しているよりも上がってきている」と手応えはある。

矢野監督は甲子園で「ロハスが上がってきたのは好材料」と喜んだ上で「こっちにいる外国人選手も調子が悪いわけじゃない。競争という形になる」と表現。もちろん、韓国2冠王は結果を積み重ねる必要性を理解している。【佐井陽介】

▽阪神平田2軍監督(ロハスの左打席初アーチを含む3安打に)「体のキレ、試合勘もちょっとずつ戻ってきている。強引にいかず、柔軟性がある。パワーも見せてくれたし、日本の投手への対応に時間はかからないと思う」

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