巨人菅野智之投手(31)の東京五輪出場が厳しくなった。侍ジャパンの代表メンバーに内定していたが2日、再調整で今季4度目の登録抹消となった。1日の広島戦(東京ドーム)で18日ぶりに先発したが2回1/3を4失点で降板。五輪前の1軍再昇格のメドが立たず、28日の五輪初戦まで1カ月を切り、復調への時間的猶予もほぼない。五輪出場を強く望んでいたが、辞退する可能性が高まった。

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菅野の姿は1軍になかった。前夜に18日ぶりに1軍復帰したが、1日で今季4度目の登録抹消となった。川崎市のジャイアンツ球場でファームに合流し、約40メートルのキャッチボールなど実施。30分間ほど体を動かし、クラブハウスに姿を消した。五輪初戦まで1カ月を切り、出場への道のりが険しくなったことを意味していた。

現実的に残された時間が極めて少ない。10日後に最短で復帰できれば、五輪前最後となる13日からのヤクルト2連戦に登板することも可能だ。DeNA戦の雨天中止後に対応した原監督は「あれだけ野球ができているわけだから」と身体的な異変ではないとした上で「奇跡的に非常にコンディションが上がれば、ないとは言えないね」と厳しいとの見立てを示した。

侍ジャパンの壮行試合となる24日の楽天戦、25日の巨人戦もあるが、五輪直前に復調を見極めることはリスクを伴う。28人で戦うWBC、プレミア12とは違い、五輪は24人の登録。内定メンバーでは投手は11人で、状態が読めない投手がいれば投手陣全体へ影響が及ぶ。加えて復帰直後の千賀も追加招集。五輪は変則方式で最短5連勝で金メダルが獲得できるが、進展次第では6連戦を含む最大8試合になる可能性もある。投手は全員がフル活用できることが大前提になる。

菅野は15年のプレミア12で侍ジャパンデビュー。計5試合で1勝0敗、防御率3・38と安定した成績を残してきた。特に17年WBC準決勝米国戦ではチームは敗れたが、6回1失点と好投し、世界に力を示した。稲葉監督も6月16日の代表発表時に「国際経験も豊富な彼には投手陣を引っ張ってもらいたい」と田中将とともに旗手として期待を寄せていた。エース格が抜け、投手陣の構想を再構築する必要に迫られる。

◆東京五輪代表の入れ替え 内定メンバー発表翌日の6月17日に19年プレミア12の優勝メンバーで経験値を買われていた広島会沢が、左下腿(かたい)腓腹筋(ひふくきん)挫傷のため辞退。代わって阪神梅野が緊急招集され、18日に発表された。巨人中川も負傷で辞退し、ソフトバンク千賀の追加招集が近日中にも正式発表される。菅野が辞退となれば、3人目の入れ替えとなる。