全ウの「3番DH」で先発した阪神小野寺暖外野手(23)が、母由子さんに晴れ舞台を見せた。

2点を追う8回2死二塁、楽天藤井に2ストライクと追い込まれたところから、全ウ唯一の得点をもたらす中前適時打を放った。「チーム最年長ということで後輩がチャンスで回してくれたので、0点で終わるわけにはいかないと思って必死に食らいついていきました」。6回にも右前打を放っており、マルチ安打と存在感を見せた。

この日は由子さんが、有給休暇を取って応援に訪れていた。母子家庭で育った小野寺にとって、活躍を一番見てほしい人。コロナ禍で試合に行きたい気持ちを我慢していた由子さんは「なかなか見に来られてなかったので、楽しみに来ました」と喜びもひとしおだ。小野寺は大商大から19年育成ドラフト1位で入団し、2年目の今年4月に支配下登録を勝ち取った。6月にはプロ初安打をマークしている。「私自身も1年半でここまで来られると思ってなかったので、私が思ってる暖よりも、今はよっぽどすごく強いなと思ってます」。たくましくなった息子の姿に目を細めた。

もちろん、小野寺が目指すのはもっと上の舞台。「早く1軍で活躍してもっともっと恩返しできるように頑張りたいと思います」。誓いを新たにした。【磯綾乃】