ミスしたって、勝って反省すればいい。楽天鈴木大地内野手(31)が西武14回戦で決勝の中犠飛を放った。同点の7回1死二、三塁から、久々の1軍登板だった西武増田の直球を捉えた。初回の第1打席では走塁死で三重殺を招いたが、ここぞの場面できっちり貢献。8回のピンチでは一塁守備で好守も見せ、チームは後半戦を2連勝発進。首位オリックスに0・5ゲーム差に迫った。

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ヒーローインタビューの第一声が鈴木大の本音だった。「勝てて僕と小深田が一番ほっとしてます。最低限の結果が出てよかった」。リードしては追いつかれ、4-4で迎えた7回1死二、三塁。西武増田に2球で追い込まれると、食らい付くことにシフトした。「何とかバットに当ててつなぐ。狙ったわけではないですけど、そういう気持ちが犠飛につながるだろうという意識は片隅にありました」。捉えた真っすぐが中堅へ上がる。三走太田の生還には十分な高さだった。

ゲームはまさかの珍事で幕を開けた。四死球をもらって無死一、二塁と絶好の先制機。鈴木大は一塁上にいた。3番浅村の打球を追いかけた愛斗が後ろ向きにキャッチ。右飛だ。が、小深田と鈴木大は走っていた。「自分の中で抜けると思って走ってしまった。ノーアウトでしたし、慌てなくてもよかったのに」。白球が右翼→二塁→遊撃→一塁と渡る間に帰塁できず、あっという間に全員アウト。猛省した。

調子が思わしくない時、チーム状況が悪い時、そんな日は誰にでも訪れる。けれどそこで、今求められることは何なのか。試合中の状況に応じて考えて動けるのが、鈴木大や島内や茂木ら主力が主力たる理由でもある。犠飛もそうだ。「打席でやらなきゃいけないことは多い。もちろんミスしないように頑張りますけど、ミスしても明日も試合はある。切り替え、切り替え。最後に勝てば次につながると思います」。

切り替えて、打って、守った。1点差に迫られた8回、なおも1死一塁のピンチで栗山の痛烈なライナーに体が反応した。「一瞬で、気付いたらグラブに入ってました」。一直併殺で西武の追撃の芽を摘んだ。「明日からも消極的にならずに、反省を生かしてプレーしていかないと」。15日も勝って同一カード3連勝とすれば、6月29日以来の首位が見えてくる。【鎌田良美】