肝っ玉侍が、いざ出陣-。日本ハム伊藤大海投手(23)が、17日オリックス戦(ほっともっと神戸)で後半戦初先発する。「#追いロジン」で一躍脚光を集めた東京五輪では、中継ぎとして侍ジャパン悲願の金メダル獲得に貢献した。

7日の決勝戦から中9日でマウンドへ向かうルーキー右腕が、3試合連続無得点中のチームの悪い流れを断ち切る。

   ◇   ◇   ◇

どんな逆境も、伊藤には関係ない。一番の武器は「メンタルです!」。金メダルを獲得した東京五輪期間中は、侍ジャパンに集った投手陣と過ごす中で「何か1つ、絶対的な武器を持っているなと感じた」という。ルーキー右腕にとっては、何にも動じない規格外の精神力が一番の武器だと再認識できた舞台だった。

つかんだ自信を、チームに還元する時がやってきた。後半戦初先発の相手は首位オリックス。チームは後半戦最初の3連戦で1点も奪えず、2敗1分けと厳しいスタートを切った。17日からのオリックス2連戦で連敗なら、自力優勝の可能性が消滅する。さまざまな重圧が襲うマウンドだが、修羅場をくぐり抜けてきた伊藤はさらりと言った。

伊藤 投球自体を楽しむじゃないですけど、緊張感を楽しめたりとか、チームの勝ちに貢献するために投球できたら。

短期決戦の東京五輪では3試合に中継ぎで登板。気持ちの上では安打を「1本も許さない」と臨んでいたという。一方で、同じ相手と何度も戦う可能性があるリーグ戦、しかも先発としてマウンドに上がるだけに気持ちを切り替える。「逆に1本ヒットを出されてもいいケースとか、そういうのも出てくると思う。メリハリというか、余裕を持ったピッチングを。要所要所を締めるような形で」と、思い描いた。

懸念は7月9日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来の先発マウンドとなることで「入りが大事になってくると思う」と、チェックポイントにも抜かりはない。前半戦は自身6連勝フィニッシュ。球団の新人では史上初の6戦6勝で、勝ち星はチームトップの7勝を挙げている。五輪前の勢いを継続し、いつものようにロジンを舞わせながら、チームを後半戦初白星に導く。【木下大輔】