俺が引っ張る。広島大瀬良大地投手(30)が7回無失点で5勝目を挙げ、チームの連敗を4で止めた。3度得点圏に走者を背負いながら、要所を締めて流れを引き寄せた。バットでも5回に右前打を放ち、チームの連続無得点に終止符を打つ野間の先制打をお膳立て。投打にわたる活躍で、前回自身が登板した13日阪神戦以来の勝利に導いた。負傷離脱などがあった前半戦は3勝も、後半戦は連勝スタートだ。

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エースがグラウンドで勝利への執念を示した。チーム4連敗中で迎えた敵地でのマウンド。大瀬良が仁王立ちだ。ピンチを招いても、動じない。1回1死二塁は中軸を打ち取り、4回無死一、二塁はビシエドを併殺に打ち取るなど後続を切った。6回2死一、二塁も福田をカットボールで空振り三振。後半戦初戦から中5日で7回5安打無失点。わずか3勝に終わった前半戦から、後半戦は連勝で5勝目となった。

「前半戦すごくチームに迷惑かけましたし、後半戦はしっかり僕を中心に勝っていけるように、そういう責任を持ってマウンドに上がっていきたいと思います」

敵地のヒーローインタビューで覚悟を口にした。負傷離脱や早期復帰の反動による影響もあった前半戦から巻き返しを期す後半戦。前半戦終盤から「シーズン中にやるメニューでない」ほど調整強度を上げた。この日も150キロ超の真っすぐには力があり、カットボールやスライダーなど変化球もさえた。

投球だけでなく、今季あまり見せなかったガッツポーズで感情をあらわにするなど、勝利への執念を表現した。0-0の5回には、打席で見せた。2死一塁から大野雄に追い込まれながら、外角球に腕を目いっぱい伸ばしてバットに当てた。一塁頭上を越える右翼線の右前打で一、三塁とチャンスメーク。「僕が塁に出れば“いくぞ!”っていう気持ちになるとみんな思いましたし。とにかく泥臭く、形は気にせず何がなんでもという気持ちでした」。必死な姿勢に、続く野間が左前への先制打で応えた。チームにとって実に35イニングぶりの得点だった。

守りでも鈴木誠が好捕するなど、大瀬良の姿はチームメートに伝わっていた。「相手が大野(雄)さんでなかなか点はとれないだろうなという思いがあった。そういう思い、姿をなんとかマウンドで表現しながらとは思っていたんですけど、みんなが同じような気持ちで戦っていたのかなと思う」。後半戦初登板から中5日。自身が勝利した13日阪神戦以来の白星をチームにもたらした。後半戦はエースが先頭に立って、チームを引っ張っていく。【前原淳】

▽広島佐々岡監督(投打に活躍した先発大瀬良に)「投げ切れていない球もあった中で、それでも試合をつくってくれた。攻撃でも自分が打った後に先制打が出たからね」

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