阪神が完敗で2連敗を喫した。先発西勇輝投手(30)が味方の拙守もあり、2回に5失点。この失点が響き、5回5失点で8敗目。通算100勝に王手をかけてから、自己ワーストタイの5連敗となった。巨人も負けて、首位陥落は免れたが、エースの不調は不安要素だ。

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5点のビハインドを必死に追いつこうとする仲間を、西勇はベンチからじっと見つめていた。「チームに流れを持ってくるような投球ができず、チームに申し訳ないです」。5回8安打5失点(自責2)で8敗目。プロ通算100勝も5戦連続で持ち越し。節目を目前にしてから白星が遠い。

味方の失策がからみ、2回に一挙5点を失った。先頭の福留に左越え二塁打を浴びてから、西勇も野手陣も、悪い流れを止められず。打者一巡の猛攻を受けた。他の回は走者を出しながら全て無失点にしのいだだけに、惜しまれるイニングになった。

1週間前も苦しい立ち上がりだった。リーグ後半戦初登板となった13日の広島戦(京セラドーム大阪)では、初回にまさかの4失点。この日はリベンジを期したが、重苦しいムードは続いてしまった。これで五輪中断期間を挟んで5連敗。オリックス時代の14年、16年に続く自己最長となり、阪神移籍後では19年の4連敗を超えてワースト。どうにかこの流れを断ち切りたい。

矢野監督は苦しむ右腕の状態を感じ取っていた。「そらいいとは言われへんけど。前回より今日の方が調子的には悪かったのかなと思う」。この日は味方のエラーが続いた不運も考慮しつつ、西勇に大黒柱として奮起を促した。

「勇輝がしっかり勝たせるということが優勝の中では絶対に必要。そういうの(失策)があったからとはいえ、もっとやれることはあったと思うし。プロは次、やりかえすチャンスというのがあるし、勇輝のピッチングで、そういうものを結果で出していくというのもプロとして必要なところやし、そのあたりは期待しています」

昨季はチームトップタイの11勝。青柳、秋山、新戦力の伊藤将も台頭してきたが、頂点に立つためには西勇の安定感が不可欠だ。首位を死守するための負けられない試合は続く。次こそ“6度目の正直”。会心の100勝目で、全てを払拭(ふっしょく)する。【磯綾乃】

▼21日に阪神●巨人○のとき、阪神は2位に転落する。20日現在の両軍は1・5ゲーム差あるが、阪神●なら52勝37敗3分けで勝率5割8分4厘、巨人○なら48勝34敗10分けで5割8分5厘となり、巨人が上回るため。