ロッテが本拠地ZOZOマリンでの通算1000勝目を挙げた。

1勝目となった92年4月7日のダイエー戦を、当時の日刊スポーツ記事から振り返る。【現ロッテ担当 金子真仁】

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4月4日に開幕戦が行われた。記念すべき船出の試合は、オリックスに0-3で敗れた。オリックス星野の緩急に揺さぶられ5安打完封された。翌日の記事で、こう報じている。

「新生ロッテの開幕ゲームには、何と3万5000人の大観衆が押し寄せた。収容人員3万人の千葉マリンスタジアムだが、立ち見と入れ替わりの分も加え定員を軽くオーバーだ。外野席までピンク色のマリーンズのメガホン、小旗が揺れる。観衆も興奮していた。『千葉にやっとプロ野球が来てくれた。マリーンズを応援する』(27=会社員)『ピンクのマークもかわいいし、グッズも結構オシャレ。後は強ければね…』(20=女子大生)『巨人ファンだったが、この雰囲気はいいね。地元っていいなア』(48=会社員)と早くも千葉県民の心を捕らえはじめている。本拠地が川崎にあったころには考えられなかった大観衆に、ある球団関係者は『まさかこんなに集まるとは思ってもみなかった。これなら目標の観客動員130万人もいける』と驚きを通り越して、声を震わせた」

オリックス2回戦は雨天中止に。マリンスタジアム移転後の初勝利は4月7日のダイエー戦だった。戦評はこう記されている。

「ロッテが牛島の力投とソツのない攻めを見せ、本拠地マリンスタジアムで開幕1勝を飾った。1、2回にダイエーの守備のまずさをついて2点を奪うと、5回には助っ人ディアズが左中間へダメ押しの1号3ランを放ち、勝負を決めた。先発の牛島はダイエー打線から10三振を奪う好投で3年ぶりの完投勝利」

本拠地千葉でのメモリアルの1勝目は、牛島和彦投手の復活勝利にもなった。ハイライト記事にはこう書かれている。

「牛島の目から涙がこぼれて止まらない。鼻先を赤らめ、アンダーシャツで涙をふきながらヒーローインタビューを受けた。『長かったです』。第一声が詰まる。『勝った瞬間? いろんなことが頭に浮かびました。家族、両親、そして先生の顔が浮かんできました。長い間、迷惑かけてしまったからね」。うれしさがこみ上げて言葉にならない。こん身の126球。9回表、2死一、三塁で最後の打者・藤本にはフルカウントからスライダーをズバッと投げ込んだ。一瞬置いて、山崎球審の右手が上がったほど、きわどいコースだった。完投勝利は右肩を痛める以前の1989年(平元)7月31日の対ダイエー戦(平和台)以来のこと。右手でつくったガッツポーズがすべてを表していた」

記念すべき1勝目から1万738日、29年4カ月24日の時を経て、通算1000勝に到達した。