開幕5連敗の悪夢から始まったロッテが、102試合目で単独首位に浮上した。新戦力のエンニー・ロメロ投手(30)が今季先発陣最多の127球を投げ、7回1失点で来日初白星。守護神益田直也投手(31)が今季30セーブ目で締めた。100試合消化以降の9月での単独首位は、1970年以来51年ぶり。昨季は終盤に大失速。油断せず、7日からのオリックスとの首位攻防戦へ向かう。

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試合が終わり、守護神益田はいつものように帽子を浅くかぶり直した。危なげなく3者凡退。自身の今季30セーブ目も、単独首位浮上も知っている。でも、派手には喜ばない。

「あれを糧にしてここまで来ましたし、あの失敗、あの経験があったからこその数字だと思います」

ソフトバンクとの開幕3連戦で2度、サヨナラ負けを喫した。ともに益田が打たれた。リベンジしても「こんな、たった1回の試合で取り返せたとは思っていない」と己を律した。オフにスライダーの練習を増やし、最大の武器であるシンカーの精度が落ちていたと要因を自己分析する。

球数をかけても着実にアウトを重ねてきた。開幕の悪夢以降の黒星は2つのみ。機動力も交えて得点するチームも、最初の5連敗以降は3連敗さえない。粘り強く黒を白に戻し、これで貯金は9になった。

両リーグ一番乗りで30セーブに達した右腕。4年連続での50試合以上登板のタフネスぶりも光る。「おっかあが丈夫に産んでくれたおかげです」。母しのぶさんに女手一つでたくましく育てられた。他球団のクローザーが軒並み離脱する今季、存在感は際立つ。

優勝を狙えた昨季は、コロナ禍もあり急失速した。「あそこから強さを見せてきたソフトバンクは、やっぱり見習うべき姿でありましたし、自分たちもああいうチームにならないといけない」と感じた。ライバルの1点への執念は、今季のチームスローガン「この1点を、つかみ取る。」にも通ずる。

51年ぶりの9月首位。お立ち台で言った。「50年以上優勝のために声をからしながら声援を送ってくれているファンの皆さんが絶対にいると思う」。ともに見たい景色は1つ。「勝っていれば全部自分が締めるくらいの気持ち」で腕を振る。残り41試合も大胆に、丁寧に。帽子を吹き飛ばすくらいのフィナーレを勝ち取る。【金子真仁】

▽ロッテ荻野(2回、貴重な先制適時打) (投手が)打たれても打って取り返したり、打者が打てないときはしっかり投手が抑えてくれてるんで、こういういい関係を保ちながら1戦1戦やっていきたい。

◆70年のロッテ 球団名が東京からロッテに移行して2年目、濃人(のうにん)監督の下、2位南海に10・5ゲームの大差をつけて10年ぶりにリーグ優勝した。投手陣は25勝で最多勝の成田、21勝でMVPの木樽を軸に、小山も16勝をマーク。ロペス、アルトマンら5人が20本塁打以上の強力打線とかみ合った。

▼ロッテが開幕102試合目で昨年8月22日以来の首位に立った。開幕100試合以上を経過してからの首位は、10年8月26、28日にソフトバンクと同率首位に並んで以来。100試合以上で単独首位は優勝した70年以来、球団51年ぶりになる。今季のロッテは開幕5連敗からスタートした。開幕5連敗以上から首位に立ったのは08年巨人以来、史上5チーム目。パ・リーグでは54年にロッテ前身球団の毎日が記録して以来67年ぶりとなった。