今季初の単独首位に浮上したロッテが、ゲーム差なしの2位オリックスとの首位攻防3連戦(ほっともっと神戸)に挑む。

最大の警戒は杉本裕太郎外野手(30)だ。ロッテ投手陣はここまで56打席の対戦で打率3割9分6厘、11本塁打と打ち込まれている。今季オリックス戦の計64失点のうち、25%にあたる16点が杉本の本塁打によるもの。首位を守って混パから抜けだすには、“ラオウ封じ”が不可欠になる。

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オリックスとの4月6日の今季初戦、途中出場で三ゴロに倒れた男は、もういない。ラオウこと杉本は、個人としては今季のロッテ最大の脅威になった。

対戦成績は53打数21安打で被打率3割9分6厘。8人の投手が11発を浴び、16打点を献上した。杉本サイドから見ても、今季の23本塁打の約半分がロッテから。井口監督も「もっともっと、相手に意識付けをさせないといけない」と話し、五輪中断期間も対策を練ったが、後半戦開幕戦でも二木がバックスクリーンに放り込まれた。

防げた1発も多い。指揮官が「打たれているのは甘いところ」と指摘する通り、11本のうち8本が、捕手の構えたコースにいかず甘く入ったところを痛打された。ボール先行からの被弾も5度。杉本の技術とパワーに圧倒された本塁打は、実は多くはない。

この3連戦は美馬、石川、二木の先発が予想され、いずれも1発を浴びている。ただ、美馬と二木は三振も複数奪っている。失投が致命的なのは対ラオウに限る話ではない。白熱する優勝争い。1球の重みはより増す。先陣を切る美馬は「勝てるような投球をしたいです」とイメージを膨らませた。オリックスは昨季は18勝5敗1分けと圧倒した。ラオウ封じと宮城攻略。2つの課題をクリアし、自信をつける。【金子真仁】

◆ロッテとオリックスの首位攻防戦 開幕100試合以上を消化後、この2チームが首位攻防戦を演じるのは初めて。伝統的に2チームそろって好成績のシーズンは少ない。2期制(73~82年)を除き、ともに3位以内に入ったのは68、69、71、84、95年の計5シーズンだけだ。ロッテは05年にリーグ優勝したが、当時はプレーオフで順位を決定したため、勝率ではソフトバンクに次ぐ2位だった。1シーズン制の勝率1位は70年が最後になり、現12球団で最も遠ざかる。オリックスは12球団で最も優勝から遠ざかり、最後のVは96年。最近は互いに優勝争いから脱落する年が目立った。

 

ロッテの6日時点での1軍登録外では、右肘手術を受けた石川がこのオリックス3連戦で復活先発する予定。佐々木朗も再登録が可能ながら、週末の楽天戦(ZOZOマリン)での先発になりそうだ。前半戦8勝の岩下は失点が続き、復活へ再調整中。首痛で2軍落ちしたリリーバー唐川の復帰も待たれる。本来なら先発要員の西野、種市はともにトミー・ジョン手術のリハビリ中で、来季の本格復活を目指す。

野手では打力のある井上、福田秀のコンディション不良が響く。ベテラン鳥谷も2軍で状態が上がりきらない中、8月末には元広島の小窪を獲得。1軍戦力として期待される。捕手の柿沼は7月中旬に左足指骨折の手術を受け、全治3カ月と診断されている。