<日本ハム3-0ソフトバンク>◇12日◇札幌ドーム

日本ハムのルーキー今川優馬外野手(24)が、ソフトバンク戦(札幌ドーム)で特大のプロ1号を放った。

2回1死二塁から、左翼席上段への2ラン。通算13打席目で放ったプロ初安打が、決勝弾となった。11日ソフトバンク戦で負傷した近藤健介外野手(28)の代役として、急きょ昇格を果たした若武者が、即スタメン起用の期待に応えた。

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初めて取材したのは、7年前の夏だった。今川は東海大四(現東海大札幌)の3年生。甲子園大会へ続く札幌支部予選で、途中出場ながら勝ち越しの2点適時打を放った背番号「16」に試合後、声をかけた。強豪校では少数派の軟式野球部出身。「周りはスター選手ばかり。レベルの高さについていけず、つらい時もあった」と話してくれた。

後日、別の選手を取材していたら、わざわざ駆け寄って来て「記事を書いてくださって、ありがとうございました」と、ペコリと頭を下げた。高校野球の取材現場でも、なかなかない経験だったので、感激したことを覚えている。

努力家で、必死の思いで春に背番号8をつかみ取ったのもつかの間、遠征先の練習試合で左手中指を骨折し、高校最後の夏は2桁背番号で終わった。大学時代も、ベンチ入りは3年春からと遅咲きだった。高校、大学と成長を見守った東海大北海道の日下部監督は「昔から夢、目標は高かった」。諦めずに努力することの素晴らしさを、あの夏、背番号「16」だった少年が目の前で教えてくれた。【日本ハム担当・中島宙恵】