優勝マジック「26」の点灯はならなかったものの、首位ロッテが1-1のドローに持ち込んだ。9回2死、最後は安打で本塁突入を試みた二塁走者のソフトバンク釜元に、捕手田村がしっかりタッチ。井口資仁監督(46)はガッツポーズし「負けないということが今日は大事だったので」とホッとひと息ついた。

3連投の守護神益田が、先頭松田に四球を許した。そこで三塁の藤岡がグググッと超前進シフトを敷いた。一塁側を狙う甲斐のバントは、球威に押され小フライに。「あのプレッシャーがおそらくバント失敗になったと思います」と井口監督。7回も8回も、相手の走塁ミスをアウトにし、首位らしいディフェンスで2失点目を防ぎきった。

7回には「26」に後押しされ、執念で同点に追いついた。好投のマルティネスに対し2死一、三塁。直近27打席でヒットなしの安田が、代打に選ばれた。

開幕4番でスタートも、今季も悩める時期が続く。「スタートで行く姿と代打で行く姿が全然違うので。どうしても4打席あると、そろっと入ってしまう」と指揮官。少しでも良さを戻そうと練習、試合での起用に工夫をこらす。

この日もフルカウントに追い込まれた。でも1人じゃない。安田の打席で、三塁側から手拍子が鳴り続けた。球団から“ベンチ入り26番目の選手”と公認されるロッテファンたちが「われらロッテ親衛隊」のリズムを鳴らし続ける。相手ファンがバッテリーを励ます拍手をかき消すほど、強い束になった音。それをBGMに、チェンジアップを同点適時打にした。安田以上に、三塁側の皆が喜んだ。

マジック点灯は18日以降に持ち越されたが、負けずに福岡3連戦を終えたのは大きい。「残り試合、1日1日しっかり戦っていきたいです」と指揮官はいつも通り。さらなる加速を目指し、試される大地、北海道へ向かう。【金子真仁】