阪神糸原健斗内野手(28)は値千金の決勝打で「大野雄キラー」を強く印象づけた。0-0で迎えた6回裏1死二塁、左腕の内角直球を振り抜いた。「遥人が頑張っていた。なんとか先に1点を、という気持ちで」。一塁線を抜く先制二塁打で均衡を破り、19年途中からデーゲーム6戦5勝0敗だった大野雄を止めた。

3戦連続の3番起用に全4打席出塁で応えた。1回は右前、4回は左前に運び、これで今季、大野雄に対して9打数5安打。「自分のやることをしっかりやった結果が今日は良かったかな」と謙虚に振り返ったが、難敵相手の好相性は頼もしい限りだ。

後半戦はすでに2番、3番、5番、6番と4つの打順に適応している。矢野監督は「健斗が5番、6番にいてくれたら、すごく嫌なところだけど…。それがなかなか現状(チーム事情で)できにくい」とした上で「本当にチームを引っ張ってくれて助かっています」と感謝、感謝だ。

昨季まで2年連続で主将を務め、今季は「名誉キャプテン」という立場。「残りはめちゃくちゃ大事な試合なので、勝つことだけを頭に入れてやっていきます。落とせる試合はない。ここまで来たら、あとは気持ち。しっかり勝って優勝したい」。美酒を浴びるまで、先頭に立ってナインを引っ張り抜く。【佐井陽介】