巨人の公式マスコットガール「VENUS(ヴィーナス)」は、連日ダンスやイベントで試合前やイニング間の東京ドームを盛り上げている。今季は総勢22人。選手とともにリーグ3連覇を目指すメンバーに、パフォーマンスに懸ける思いなどを聞いた。

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夢破れた先に「VENUS」があった。定谷(じょうや)朋佳さんは、プロのバレエダンサーを目指し、米国のヒューストンに1週間のバレエ留学をした過去を持つ。700~800人の中から10人の選ばれし者だけが参加を許された。狭き門を突破して、乗り込んだが、上には上がいた。「周りの子たちの(バレエの)方が全然美しくて。次元が違うなと。実力の差を見せつけられました」。年下も少なくない中で、厳しい現実を突きつけられた。バレエから遠ざかった時期もあった。

家族の影響で訪れた東京ドームで見た「VENUS」が、新しい世界に踏み出すきっかけだった。19年のファン感謝祭。「選手よりもVENUSに目を引かれました。『VENUSのお姉さんと写真撮りに行く! 』と言ってました(笑い)」と振り返る。

バレエの経験が今に生きる。チアとの共通点は「そろえる美しさ」にあると言う。「バレエでは1人が上手でも、その他がそろっていなかったら、1人で踊っている人が目立たないことがある。チアは1人で踊ることがないだけで、全員でそろえて、元気を与えるというところが共通点だと思う。それが生かされているかなと思います」。悔しい経験が、今の姿を形作っている。

球場に直接見に来てくれることが、何よりも励みになる。「家で中継を見るだけではなく、球場に足を運んでくださるように、SNS発信など頑張っていきたい」と意気込んだ。バレエでも、VENUSでも、元気と笑顔を与えたい気持ちは変わらない。【小早川宗一郎】