オリックスが首位ロッテ相手にミラクル3連勝でマジック点灯を阻止し、0ゲーム差に迫った。2点を追う9回2死一、三塁で、T-岡田外野手(33)が逆転15号3ランを放った。直後に、一塁ベースの踏み忘れを指摘され、ロッテがリクエストしたが、「世紀の凡ミス」ならず、判定はそのまま。勢いに乗るオリたちが、1日にも首位再浮上を果たす。

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壮絶な首位決戦を、一振りで片付けた。2点を追う9回2死一、三塁。ここぞの場面で、T-岡田が右翼席へ起死回生の逆転3ランを放った。ゆったりと歩き出す背番号55から、視線を白球の着弾点へ。三塁側ベンチのナイン、敵地につめかけた左翼席のオリックスファンは両手を大きく掲げた。

「ああいう場面で、ここ何年も打ってなかった。こういう大事な戦いの中で打てたのは、やっぱりうれしい。自信にしたい」

ダイヤモンドを1周すると、両手を大きく開いて「Tポーズ」を決めるT-岡田に、ナインが思い切り抱きついた。歓喜に包まれた直後…。思わぬハプニングが発生した。

ロッテベンチが一塁ベースを踏んでいないと主張し、リクエスト判定に。珍プレーに、球場の電光掲示板に映像が流れぬまま、およそ3分が過ぎた。踏んでなければ、まさかのゲームセット…。T-岡田は「踏んだと思いますよ。今まで野球をやってきて、ベースを踏まなかったことがないので、リクエストされると不安に…」と空白の時間を待った。

困惑気味の三塁ベンチ内では、17年に本塁踏み忘れで来日1号が幻になった助っ人を引き合いに「もし踏んでなかったら、あだ名、マレーロにするぞ!」の声が飛んだ。T-岡田が「頼むから…踏んでてくれ!」と願うと、判定通りの結果だった。

首位ロッテに3戦連続逆転勝利でゲーム差なしの2位。6度目のマジック点灯阻止で、リーグ最速60勝に到達した。1日にも首位奪還だ。

中嶋監督は「本当にね、最高の形ですよね。諦めずにひっくり返したのはすごい」と絶賛。混パは勝負の10月に突入する。「最後の月、上を目指して頑張りたい」と指揮官は奮闘を誓った。96年以来25年ぶり、悲願のVへ-。ムードは最高潮。夢に向かって、突き進むだけだ。【真柴健】

▽オリックス中嶋監督(9回のリクエストに)「そもそも、時間をあんなにかけてリクエストをしていいものか、というのもある。受けた方も受けた方だし…」

◆ベース空過メモ 本塁打を打ってベースを空過した場合、守備側がアピールすればアウトとなる。本塁を踏まなかった場合は三塁打、三塁を踏まなかった場合は二塁打になり、一塁を踏まなかった場合は凡打になる。58年9月19日長嶋(巨人)は本塁打を打ったが、一塁を踏み忘れ、審判から渡ったボールが投手から一塁へ転送されて結果は「投ゴロ」に。ボールデッドとなるため、今回はアピールが成功すれば3アウトで試合終了だった。