日本ハム西川遥輝外野手(29)が西武20回戦(札幌ドーム)の9回2死満塁の場面で代打サヨナラ安打を放った。

10年ドラフトで1位入団の斎藤佑樹投手(33)が1日に今季限りでの現役引退を発表。同2位入団の西川が、2軍最終戦で涙の鎌ケ谷ラスト登板に臨んだ同期を惜別する劇的な一打で、チームを6カードぶりの勝ち越しへ導いた。

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打った瞬間、右手を突き上げた。代打出場の西川が、一振りで仕事を果たした。同点の9回2死満塁。西武の守護神平良の初球を、迷いなく振った。打球は二遊間を抜け、中前へ劇的なサヨナラ打。チームメートを、スタンドの日本ハムファンを、笑顔にした。

2日前、発奮材料となるメッセージを受け取った。ドラフト同期入団の斎藤からだ。1日に引退を発表した斎藤に「お疲れさまです」とLINEで連絡。返信には「応援しているよ」とエールを送られていた。この日は栗山監督から“休養”を与えられ、ベンチスタート。最後の最後に巡ってきた出番で、斎藤からのエールに応えるように18打席ぶりの快音を響かせた。

試合後は、斎藤との思い出も振り返った。「一緒に入団できたことが夢のようで、今でもよく覚えています」。プロ1年目の11年は空前絶後の佑ちゃんフィーバー。至るところで報道陣やファンが殺到した。「あんな注目されることはない。あれが普通だと思っていたら2年目以降、全く違った」と驚きの日々だった。斎藤とは「体の話をよくしてましたね。硬いのでどうすればいいかというところから。佑樹さんは頭を使って、常に投げ方とかを研究していた印象が強い」と、感慨にふけった。

17日オリックス戦(札幌ドーム)で最後の“共演”を楽しみにしている。「“斎藤佑樹”の後ろを守れるだけで感激ですよ」と、同期右腕のラスト登板を目に焼き付けるつもり。その時も、打って花道を飾る。【小林憲治】