とにかく明るいロッテが3連勝だ。初回2本塁打で波に乗った。不動の1番、荻野貴司外野手(35)が9号先頭打者本塁打で先制。

前日戦列に戻ったレオネス・マーティン外野手(33)もチームトップの26号ソロで続いた。ルーキー河村説人投手(24)は自身4連勝となる6回2失点の投球で援護に応え、首位オリックスを猛追。0・5ゲーム差に迫った。

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ベテランが勢いづけた。荻野は1回、立ち上がりが高めに集まった西武本田の直球を左翼席へ。1周すると、お笑い芸人ゆってぃのネタ「ワカチコ、ワカチコ」に似た動きで両肘を上下させながらベンチ前を駆け抜けた。「非常にワクワクしていたので思わずやってしまいました」と照れ笑いを浮かべる。前カードの楽天戦から始めた、安打の“ワクワクポーズ”だった。

まもなく36歳を迎えるシーズン。12年目で初の全試合出場が現実味を帯びてきた。この日で126試合目。19年の125試合を超えて自己最多を更新した。高い出塁率に、いまだ20盗塁を記録する健脚。「しんどい時もありますけど、何とか体にむち打って、優勝目指して頑張っています」。五輪による公式戦中断期間に体を休められたこと、守備の負担を考慮されて主に左翼に就いていることも助けになった。

井口監督は「ケガがなければこれだけできる。彼に代わる選手は今のところいない」と、全幅の信頼で開幕から1番に置く。頼もしい生え抜き最年長に助っ人が続いた。右足骨折を押して復帰2戦目のマーティンが、2死から右中間ソロ。前夜の第1打席も右中間への打球がフェンスを直撃した。わずか4打席後、柵を越えた。「オギさんに続くことができたよ」。さらに流れをたぐり寄せた。

ゲームセット直後、二塁付近では中村奨とエチェバリアが勝利のダンスを舞った。言い出したのはマーティン。内外野に「何かやろうぜ」と声をかけた。外野手は…と言えば、控えめに集まって肩を組んでいる。ワクワクポーズを頑張った荻野だが、本来はヒーローインタビューも「苦手」な恥ずかしがり屋。「あの、あまり派手な外野陣ではないので、地味にやろうということで」。ワクワク、踊って、肩を組む。それぞれのやり方でムードを高めた。いよいよオリックスに0・5差。首位を奪回する。【鎌田良美】

▼荻野の今季5本目の先頭打者本塁打が勝利打点(V打)になった。ロッテの今季V打3傑は(1)レアード10(2)荻野9(3)マーティン8。1番打者ながら貴重な打点が目立つ。この日4打席に立ち、出場126試合、570打席は19年の125試合、569打席をそれぞれ上回る自己最多。ここまでチーム全試合を1番打者でリードする。21日で36歳になるが、83年福本(阪急)に並ぶ最年長の「全試合1番」へあと17試合だ。