今秋のドラフト会議で指名漏れした九大の最速144キロ左腕、芦谷汰貴(たいき)投手(4年=修道)は、大学ラスト登板で今季初勝利、通算3勝目でチームに今季初勝利をもたらした。

今秋の先発は2戦目。芦谷「力み過ぎて序盤はやばいと思った」と初回は先頭打者に四球を与え、適時失策で1点を失い、2回も先頭打者にソロを被弾した。だが、3回以降は「最後は自分がやってきたことを信じて気持ちで投げた。最後は勝てると信じていた」と立ち直って、7回3安打2失点(自責1)、7奪三振と力投した。

広島県内屈指の進学校、修道高を卒業して1年浪人の末、難関国立大に合格。工学部エネルギー科学科で原子力系の研究に打ち込んでいる。だが、目指すはプロ野球一本で、大学院には進まず、就職活動も行わない背水の陣で運命の日を待った。

ドラフト当日は、テレビ中継を見ながら自宅で待機したが吉報は届かず、九大から初のプロ誕生はかなわなかった。「努力不足だった。思った以上にプロの世界は遠かった」。それでも、憧れ続けた世界だけに「プロは諦めきれない」と未練が残る。今後は何らかの形でプロ入りの道を模索するつもりだ。【菊川光一】