元西武の松本直晃投手(30)が現役続行への意欲を燃やしながら、岡山県内で自主トレーニングを継続している。

東海大翔洋-環太平洋大-「養和会」軟式野球部-四国IL・香川を経て、15年ドラフト10位で西武に入団。当時25歳でプロ入りの夢をかなえた。

西武では18年に自己最多の24試合に登板するなど、通算4年間で30試合に登板し、0勝0敗、防御率6・25。19年限りで戦力外通告を受け、20年からは琉球ブルーオーシャンズでプレーしたが、10月1日に契約満了で自由契約が発表された。

「自分の中でまだ続けたいという気持ちが強いです。今年1年間、琉球でプレーする中で手応えを感じる部分もあって、何とか勝負したいです」

新天地で習得したのが、カットボールだった。元中日の川上憲伸氏のYouTubeを参考に挑戦。球速は144キロを計測し、速球の最速は149キロをマークした。西武時代からの持ち球のカーブ、フォーク、シュートも交え、投球の幅が広がった。

琉球ではロッテ、DeNAで活躍した清水直行監督から、打者との駆け引きや変化球の使い方を伝授された。ただ、この2年間は新型コロナウイルスの影響もあって、実戦で生かす機会は少なかった。

「コンディションもいいですし、今の力を試してみたいなと。今の僕を見ていただけるチームがあれば、ぜひプレーしたいです」

子どもたちへの思いも、体をグラウンドに向かわせる。20年1月に長女が生まれ、今年6月には長男が誕生。長女は球場に訪れた経験はあるが、長男は1度もなく「覚えてないとは思いますけど、やっぱり球場に来て、僕が投げてる姿を見てもらいたいです」と思いを込めた。

先日、引退試合で登板した西武松坂大輔の姿にも、力をもらった。「僕の中でスーパースター。正直、やめることも頭によぎったことはあったんですけど、あの松坂さんの覚悟を見て、自分はもっとやらなければと思った」。完全燃焼できる場を求め、懸命に汗を流す。【久保賢吾】