ヤクルト先発の2年目右腕、奥川恭伸投手(20)が大舞台でプロ初完封を飾った。

球数は98球。100球未満の完封を意味する「マダックス」で達成。6安打9奪三振で無四球無失点に抑え、歓喜の輪の中心に立った。レギュラーシーズンでは最長7回までだった右腕が、チームに貴重な白星をもたらした。

パ・リーグCSではオリックス山本由伸投手も完封。同日に若手2人が完封するゲームとなった。

ヤクルト打線も若き右腕を強力に援護。1回には塩見泰隆外野手(28)の“神走塁”で先制点を挙げた。1回の第1打席で左中間への二塁打で出塁すると、1死一、三塁から4番村上が遊撃後方に飛球でスタートを切った。一時はハーフウエーで打球を見極め、巨人坂本が下がりながら捕球をすると、スタート。快足を飛ばし、先制のホームを踏んだ。

直後の2死一塁の場面では、5番サンタナが初球の127キロスライダーをフルスイング。左翼席へ運ぶ2ランで、1回に3点を先制した。7回には塩見の適時二塁打で4点目を奪い、終始試合を優位に進めた。

▽ヤクルト・サンタナ(初回に2ラン)「塩見が素晴らしい走塁をしてくれてチームに勢いをつけてくれた。先制してくれて楽な気持ちで打席に入れたし、自分の打撃に集中することができた」

◆マダックス 100球未満での完封を意味する言葉として使われる。86~08年にブレーブスなどで通算355勝を挙げ、殿堂入りした大投手グレグ・マダックスは、通算35完封のうち13度を100球未満で達成。抜群の制球力は「精密機械」と呼ばれた。球数で降板のタイミングを管理する現代の大リーグで、100球未満の完封は先発投手の理想となる。

▽ヤクルト高津監督(奥川の投球に)「勝っても負けても彼のゲームだと思っていた。最後まで投げ切るイメージはしてなかったが、非常に少ない球数で、どんどん勝負をしていった結果。素晴らしいピッチングだった」