広島が11日、小窪哲也氏(36)のコーチ就任を発表した。マツダスタジアム内で会見し、1軍内野守備走塁コーチを務めることが明かされた。昨年まで広島に13年在籍し、今年は独立リーグの九州アジアリーグ・火の国(熊本)をへて、ロッテに8月末に加入。濃密な1年を送り、今季限りで現役を引退した。2年ぶり復帰となる古巣で、勝てる組織づくりの一役を担う。

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選手からコーチとして、小窪が広島に帰ってきた。やや緊張した面持ちで会見に臨んだ。「本当に、今は現役もすっきり辞めて、これからはカープのために全力でやりたいなと思います」。昨オフ、構想外となった広島からのコーチ打診を固辞した。現役続行を選び、九州アジアリーグ・火の国(熊本)をへて、ロッテに途中加入。シーズン終了後に現役引退を発表し、昨年まで13年間在籍した古巣で指導者としての人生を歩んでいく。

担当は1軍内野守備走塁コーチとなる。現役時代は内野全ポジションを経験し、3連覇した機動力野球も知る。「しっかりと選手にリスペクトできるようなコーチになりたい。一緒の気持ちで戦えたら。ミスしたら僕も悔しい。そういうコーチになりたい」。押しつけるのではなく、対話によって個々が持つ良さを引き出しながら導いていくコーチとなりそうだ。

現役時代、16年から2年間、選手会長を務めた。それまで球団に選手側の要望を一方的に伝えるイメージが強かったが、小窪は対話を重視。相互的な関係を築き、3連覇の礎をつくった。今年は独立リーグに加え、パ・リーグで終盤まで優勝争いしたロッテにも所属。1年で得た濃い経験も、指導者としてプラスとなるに違いない。

現役選手として3連覇を経験した初のコーチ就任となる。「やっぱり強いチームは守備がいいし、隙がない。みんなで常勝軍団になれるようにやっていきたいと思います」。指導者としては1年目ながら、人望や包容力は現役時代から認められてきた。選手に寄り添いながら、指導者として選手とともに成長していく。【前原淳】

▽広島佐々岡監督 僕を含め、いろんなコーチとコミュニケーションを取りながらやってくれと(伝えた)。年齢が選手と一番近いので、そういうところの関係性も期待するところがあります。

◆小窪哲也(こくぼ・てつや)1985年(昭60)4月12日、奈良出身。PL学園-青学大。07年大学・社会人ドラフト3巡目で広島入団。16年は選手会長として球団25年ぶり優勝に貢献。昨年オフ、広島を退団。今年は九州アジアリーグ・火の国(熊本)をへて、ロッテに途中加入。今季限りで現役引退した。NPB通算712試合出場、打率2割5分7厘、19本塁打、155打点。175センチ、83キロ。右投げ右打ち。