★宮本慎也氏＝ヤクルト4勝3敗、MVP塩見
ヤクルトもオリックスもリーグ制覇し、それぞれがCSも突破。ペナント優勝したチーム同士の対戦になり、真の日本一を決める日本シリーズになった。どんな戦いになるか、純粋に勝負を楽しみたい気持ちでいっぱいだが、その前に評論家の“仕事”でもある対戦を予想しなければいけない。「4勝3敗でヤクルトの勝利」と予想させてもらった。
投打のバランスを比べると、どちらも似たようなチーム。投手力は強力な先発陣をそろえるオリックスが有利のように思えるが、リリーフ陣はヤクルトが優勢。ほぼ互角の布陣だと考えている。そこで勝負を分けるのは得点力。攻撃力はヤクルトが上回っていると思う。
カギを握るのは1番を打つ塩見。好不調の波が激しいタイプだが、CSでは大活躍。CSのMVPは奥川だが、個人的には塩見だったと思っている。短期決戦での活躍は自信になっただろうし、勢いに乗ると思い切ったスイングができる。持ち前の長打力が生きてくる。オリックスの1番を務める福田も好打者で走力もあるが、長打力は塩見の方が上回っている。
なぜ塩見をキーマンに挙げたかというと、両チームの下位打線を比べたからだ。どちらのチームも強力な3、4番がいて、得点力の原動力になっている。しかし下位に並ぶ顔触れを比べると、中村や西浦は状況に応じた打撃ができる。シーズン後半は不調に陥ったオスナだが、気楽に打てる7番なら怖い存在だろう。ヒットを打つ能力、出塁する能力ではオリックスも互角だろうが、チャンスメークする能力はヤクルトが上回っている。シーズン同様に下位で作ったチャンスを塩見がものにするパターンは日本シリーズでも大きな武器になるだろう。
DHに誰を起用するかが問題。個人的には代打の切り札として活躍した川端はそのまま代打として起用した方がいい。川端は思い切りもよく、とにかくバットコントロールがいい。チャンスに強く、打撃技術に目を奪われがちだが、選球眼がいいのも特徴のひとつ。相手バッテリーからすれば、1番塩見の前で代打起用すれば、これほど嫌な打者はいない。DHにはサンタナか青木を起用し、外野には走力か守備力を重視した選手を起用した方がいいだろう。
オリックスには球界NO・1投手の山本がいる。ヤクルトが日本一になるためには、山本が先発する初戦の勝利が絶対条件のように思われていそうだが、個人的にはそうは思わない。初戦に負けても、ヤクルトには6戦目か7戦目まで持ち込む打力がある。2度、先発する山本に対し、どちらかの試合で勝利すれば日本一の夢は実現すると思っている。（日刊スポーツ評論家）
