慶大がサヨナラ勝ちで決勝に進み、史上5校目の年間4冠(春、秋リーグ戦、大学選手権、明治神宮大会)に王手をかけた。

4-4の9回1死三塁、下山悠介内野手(3年=慶応)は堀井哲也監督(59)から「余計なことを考えるな」と背中を押された。「外野に運べば点が入る」と頭を整理して、打席に向かった。初球、内寄り134キロを振り抜き、右越えにサヨナラ2ラン。ダイヤモンドを1周すると「ありがとー!」と叫ぶチームメートたちに、もみくちゃにされた。

チームは今秋、わずか1敗のみで、東京6大学連覇を果たした。下山も主軸として活躍したが、優勝を決めた最後の早慶戦は2試合続けて4打席無安打。好機で凡退を重ねた。「引っ張りにかかっていました」。リーグ戦後は、センター中心の打撃を徹底。やり返す気持ちで今大会に臨み、神奈川大との点の取り合いにけりをつけた。

25日の決勝に、年間4冠という東京6大学初の快挙がかかる。下山は「あす、勝っても、負けても、このチームでやれる最後。もちろん、優勝したいです。このチームの集大成を、みんなで見せられるようにしたい」と決意を語った。「素晴らしいチームにしてくれた」と感謝する4年生たちと、ともに戦うラストゲーム。思いの全てをぶつける。

 

▽慶大・堀井哲也監督(下山の本塁打に)「ミートする力はチームでトップクラス。下山が出なかったらしょうがないという気持ちで送り出しました」