今季まで10シーズン、日本ハム監督を務めた栗山英樹氏(60)が2日、侍ジャパンの新監督に就任した。23年3月に開催が見込まれる第5回WBCまで指揮を執る。栗山氏が選ばれた理由とは? 侍ジャパン担当記者が解説した。

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WBCまで残り1年半を切っている。困難なミッションの最適任者が栗山監督だった。初陣は来年3月5、6日の台湾戦(東京ドーム)に決まったが、残る強化試合も来秋、WBC直前の2試合ずつとみられ、計6試合程度しか見込めない。

06年大会の王監督は4試合、09年大会の原監督は6試合、13年大会の山本監督は7試合と大きく変わらない。だが17年大会の小久保監督は32試合の準備期間があった。稲葉前監督も五輪までに30試合を重ねた。ともに監督経験がなく、在任期間が長かったこともある。今回は23年3月までという短いスパンでのチーム作りに豊富な監督経験を持つことは必須条件だった。

侍ジャパン強化委員会は東京五輪後の9月から選考に着手。強化委員長を務めるNPB井原事務局長は「(WBC優勝の)目標から逆算して、監督に求める要件を議論した。まず1点目としてNPBでの監督経験、もしくは日本代表経験のいずれかがあること。2点目として全国的な発信力があること。3点目として、アマを含む野球界全体および、侍ジャパン事業全体へのご理解があること。この3点をとりまとめた」と選考過程を説明した。

栗山監督は日本ハムで10年の監督経験を誇り、2度のリーグ優勝、1度の日本一、さらにCSも5度出場と短期決戦も体感している。言葉の力もあり、キャスター時代の取材を通し、アマチュア界への理解も深い。日本球界の未来を担う最適解として、情熱の指揮官が選ばれた。【侍ジャパン担当=広重竜太郎】