マスターズ甲子園2021が4日、兵庫・西宮市内の甲子園で開幕し、開幕戦で新湊・高岡向陵OB(富山)が広陵OB(広島)を7-5で下した。

86年センバツで新湊をベスト4に導き「新湊旋風」で話題を集めた、当時監督の桧物政義さん(69)が総監督として指揮を執った。「楽しかったです。私は監督トータル30年。すべて甲子園を目指して指導してきた。やっぱり聖地です。人生そのものが甲子園に絡んだ生活でした」と振り返った。

桧物さんは高岡向陵でも指導し、今夏限りで退任した。高校3年生だった1970年秋から監督代行として指導者の道に進み、翌71年に監督就任。同校で甲子園に春夏通算3度出場し、6試合で3勝3敗だった。

86年センバツを「すごい応援なんです。応援で勝ったようなもの。選手とスタンドが一体。試合中は街に人がいませんから」と思い起こした。この日のメンバーのうち、19人が教え子だ。

「こういう形で甲子園に来られる。教え子のおかげです。勝敗よりも全員、出したかった。楽しかった」

この日は名門の広陵に打ち勝った。高校野球を彩った名物監督は言う。「ここで完封負けがないんです。私たちの誇りです」。冬の陽光がきらめく、あこがれの黒土で“甲子園4勝目”をつかんだ。