阪神矢野燿大監督が53回目の誕生日を迎えた6日、守護神バトルのゴングを鳴らした。絶対的ストッパーだったロベルト・スアレス投手(30)が退団。セットアッパーの岩崎優投手(30)を筆頭候補に挙げつつ、「競争」とあおった。その中心は、獲得調査を進める最速157キロ右腕、カイル・ケラー投手(28=パイレーツ)ら新外国人VS岩崎の構図。来春キャンプは、4年目矢野阪神の命運を握る抑え争いから目が離せない。

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数日前にショッキングなニュースが飛び込んできたが、矢野監督は前を向いていた。2年連続セーブ王の守護神スアレスが退団し、パドレスへの移籍が正式に決定。来季Vを目指すチームには計り知れないダメージだが、指揮官に恨み節はなかった。「今年タイガースで一緒にやってくれたのはすごくありがたかったし、去年もよく残ってくれた。全力で応援するっていう気持ちしかない」。夢のメジャーにチャレンジする右腕を、笑顔で送り出した。

では「ポスト・スアレス」は誰か。矢野監督も勝負をかける4年目の来季、9回のマウンドに上がる男は誰なのか。この日が53歳の誕生日だった指揮官は「スグルがクローザーやってくれるなら、俺的に問題ない。経験もいる場所なんで」と岩崎を有力候補の筆頭に挙げた。今季はセットアッパーとして62試合に登板し、チーム最多の41ホールドをマーク。東京五輪では侍ジャパンの金メダル獲得に貢献した。スアレスが一時帰国した8月には代役守護神も務めるなど抜群の安定感。現救援陣で一番信頼がおける存在というわけだ。

だが、岩崎で決まりとは結論づけなかった。指揮官は守護神バトルをあおった。「日本人選手で出てきてくれたら、いいけどね。外国人選手も含めて、そこは見極めというか、競争になってくる」と春季キャンプからの競争を宣言。右腕か左腕かも「あまり関係ない。今は(各チーム主力に)左バッターが多い」とこだわらない考えを明かした。

獲得調査を進める最速157キロ右腕、カイル・ケラー投手も、有力候補の1人だ。アルカンタラや及川は先発起用する方針で、現時点では、ストッパー藤浪の思い切ったプランも現実味が薄い。岩崎VS新外国人が守護神バトルの軸になりそうだ。

この日、秋山とともにオンライントークショーに参加した岩崎は「任されたところでやるだけかなと思います。(9回のイメージは)できないことはないですよ。(今年も)やっていますし」と力強く覚悟を語った。矢野監督は「でも、逆にそうなると、8回もすごい大事になる」と思案する。チームの浮沈を左右する8回、9回の勝利の方程式は誰が担うのか。春季キャンプの超重要ポイントになりそうだ。【桝井聡】