広島長野久義外野手(37)が16日、マツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、4500万円ダウンの1億2000万円でサインした。鈴木清明球団本部長(67)はチーム最年長の長野について、15年に38歳で広島に復帰し、チームの主力としてリーグ3連覇に大きく貢献した新井貴浩氏(44)のような存在になることを期待した。(金額は推定)

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若々しく黒いスーツをパリッと着こなした長野の目の奥は燃えていた。今季はプロ入り後最少の71試合の出場にとどまり、打率2割1分6厘、2本塁打、13打点。いずれもプロ12年目で自己ワーストの成績に終わった。6日に37歳になったばかりの男は、例年通り金額は明かさず、淡々と今季を振り返った。

「やっぱり個人的な成績も申し訳なかったのもありますし、鈴木さんからも『まだまだやれるし、頑張らないと』と言葉をかけてもらったので。試合に出ないとおもしろくないし、勝たないとおもしろくない」

まだまだ老け込む年ではない。鈴木球団本部長は新井貴浩氏を例に出し「チームの最年長でも、ある程度試合に出ていないと。新井も40歳近くなって帰ってきて、試合にスタメンで出ていた。ある程度の数字を残しながら引っ張ってもらわないと。ポジション争いをしてほしい」と期待。新井氏は38歳となった15年に阪神から広島に復帰。開幕当初はベンチスタートだったが、レギュラーの座を再奪取し、主力としてチームをリーグ3連覇に導いた。

長野自身も日本シリーズを見て期するものがあった。ヤクルトがオリックスを下し、セ・リーグとして9年ぶりの日本一を勝ち取り「みんな勇気をもらったと思う。カープも負けてない選手がいっぱいいる。みんなで頑張ってヤクルトを倒したい」。41歳の石川、39歳の青木と年上のベテラン勢の活躍にも刺激を受け「青木さんも盛り上げ役になっていた。“最年長”のまっちゃん(松山※1学年後輩)を先頭に、少しでも盛り上げられるように、頑張ります」と引き締めた。

プロ13年目のシーズンへ向け、オフは「秘密」の場所で体を鍛え抜く。「下半身をしっかり作り直して、春先からいい状態でシーズンに臨めるように頑張ります。1試合でも多く試合に出たい」。強い覚悟を胸に、来季巻き返す。【古財稜明】

○…長野が同じ右打ち外野手ルーキーに対抗心? を燃やした。趣味がゴルフという188センチ、110キロのドラフト6位の大阪ガス・末包(すえかね)昇大外野手(25)が、仮契約時に「350ヤード飛ばす」と話していた報道に触れ、「350ヤード? 25歳? 僕もそれくらいの時だったら400くらいは飛ばしてたから」ときっぱり。プロ入り前に長野節で新人を“挑発”した。