闘志あふれる救援左腕が、今季も奮闘する。オリックス富山凌雅投手(24)が、2年連続50試合以上登板を目標に掲げ、22年を始動した。

「2年連続50試合登板を最低限にしたい。2年連続(チーム)最多登板を狙えるのは自分だけ。そこも絶対クリアしたい」

昨季チーム最多の51試合で救援登板し、25年ぶりVに貢献した度胸満点の左腕は熱意を込めた。

日本シリーズのマウンドも3試合経験。登板全試合で無失点に抑えた。ロッテとのCSファイナルステージ第3戦(京セラドーム大阪)では2番手で3回2死一、二塁の場面で登板。角中を遊ゴロに仕留め、4回のマウンドも無失点。9回に小田がバスターで決めた“サヨナラドロー”を呼び込んだ。

短期決戦の緊張感は「社会人(トヨタ自動車)以来ですかね、久しぶりに。ヒヤヒヤした戦いができた。一発勝負は怖いですけど、めちゃくちゃ楽しかった」と満足そうに振り返る。昨季に積んだ経験から「先頭に立って中継ぎ陣を引っ張っていきたいなという気持ちはあります」と自覚も芽生えてきた。

チームのブルペンには37歳右腕の守護神・平野佳、39歳になった変則リリーバー比嘉、34歳左腕の海田らがドッシリ構える。頼もしいベテラン陣だが「平野さんに頼ったらダメというのは、中継ぎの投手みんなが思っていることだと思う。ベテランにばかり頼っていられない。世代交代も必要かなと考えてます。僕もそうですし、若い選手がどんどん1軍で投げたいという気持ちを強く持って練習してほしい」と24歳左腕はベテランと若手のシナジー効果を訴えかける。

51試合に救援し「どれだけ上の世界が素晴らしいものかというのを、まだ上で投げてない選手に伝えていけたら」と率先して若手の手本になる心意気だ。

向上心を持つ。「中継ぎをやるなら、8、9回を本職にしたい。固定されて、1点差でも同点でも、負けられない試合の8、9回は『こいつでないとダメだ』という立ち位置になりたい」。自信を積み、勝利の方程式入りを狙う。

チームメートの本田とともに、9日から大阪・舞洲の球団施設で練習開始。10日に報道陣へ自主トレを公開した。年末年始はランニングやストレッチなどで調整。疲労は取れたと言い「1回休んで、気づくこともある。球種的に緩いのも使えたら。カーブでカウントが取れたら、緩急でも抑えられるのかなと思う」と投球の幅を広げるつもりだ。

今オフに挑戦したいと意気込んでいたホットヨガは、コロナ禍のため中断。「今は自分でインターネットで探してやっています」と動画投稿サイトYouTubeも参考に、自宅で1日1時間ほど取り組む。愛娘も興味津々で「邪魔しに来ますよね」と富山パパは笑う。

富山は14人きょうだいの大家族で、自身は6番目。姉3人、兄2人、弟8人がおり「年末年始はね…。食事代でだいぶ(お金が)飛びましたね。全員が集まると、40、50人近くになるんじゃないですか? 全員で行くのは厳しいんで、家庭ごとでご飯に誘って連れて行って、僕が出すって感じ」と笑顔。今オフには推定2700万円増の4200万円で更改。祖父母にもお年玉を手渡し、一家を喜ばせた。

喜んだのは家族だけではない。「地元に帰ったら家族以外でも、話しかけてくれる方がいた。今年初めて、買い物してる時に、声をかけられて…。ちょっと僕も気をつけないとダメだなと(笑い)」。和歌山・南紀白浜の「とれとれ市場」に「毎年フグを買いに行くんですけど、そこで(ファンに)声をかけていただいて」と例年との違いに困惑した。

多くの野球ファンにも認知され、2年連続での躍進を誓う。「常に同じ気持ちで。どこでも行かせてくれるなら行かせてくれ。やってやろうという気持ちでマウンドに」。平然を装うが、胸の内は熱い。【真柴健】