今季から主将を務める阪神坂本誠志郎捕手(28)が1月31日、今季限りでの退任を表明した矢野燿大監督(53)を日本一の胴上げで送り出すことを誓った。沖縄県内の宿舎での全体ミーティングに参加し、矢野監督の決意を聞いた。チームを代表してオンライン取材に応じた坂本は「びっくりというのが一番。監督が考えた結果、このタイミングで言うべきだと判断されて、おっしゃられたのには何か意味もあると思う」と戸惑いながらも受け止めた。

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キャンプイン前日の退任表明。指揮官の覚悟も伝わった。「最後優勝して日本一の監督にして、花道を飾って、みんなで協力してやりたいというのは一層強くなった。背筋が伸びるというか、こちらもよし頑張ろうという思いになりました」。自身だけでなく、矢野監督の話を聞いた他のナインも優勝へ向け、よりひとつになって戦う結束を感じたという。

昨年は勝率5厘差で優勝に手が届かなかった。その終盤のしびれるV争いの佳境で、最終戦まで11試合連続スタメンマスクを任された。オフには選手間投票で主将にも選出された。この日も矢野監督からは「思うようにやってくれたらいい」と選手やチーム内から意見を言える環境づくりを託された。新主将として、有終Vへの思いは強まった。

新人だった16年、矢野監督も1軍バッテリーコーチで阪神に復帰。2軍監督、1軍監督と入団からずっと一緒に戦ってきた。「監督はいつも『やってみて気づくことが大事』、『失敗を恐れるのではなく、失敗したことから何を学ぶかが大事』と言われる」。入団から6年間、同じ捕手だった“矢野の教え”を胸に、プレーを続けてきた。矢野監督の現役時代を知るスタッフから、勝利へ対する熱い話も数多く聞いてきた。

キャンプでは国内フリーエージェント(FA)権を行使せず3年契約で残留した梅野との、ハイレベルな正捕手争いが待っている。競い合ってチーム力を高め、必ず矢野監督を胴上げする。【石橋隆雄】

■履正社・岡田監督、坂本にLINE「胴上げしてやれ」

履正社(大阪)の岡田龍生監督(60)が1月31日、矢野監督の胸中を察した。「全然、知りませんでした。彼も彼なりに考えていること、決めていることを先に言おうと思ったんじゃないか。今シーズンは、これでやりきる、彼の覚悟じゃないですか」。桜宮(大阪)でコーチとして当時の矢野監督を指導。履正社で教えた坂本と井上も阪神でプレーする。「(矢野監督は)1年1年、勝負をかけて、この1年でという気持ちだと思います」。キャンプイン前日は例年、プロ入りした教え子をLINEで激励。坂本には昼すぎに「監督を胴上げしてやってほしい」と伝えていたという。