「ポストおかわり」への強い覚悟と期待があふれていた。

西武の「よくばり君」こと渡部健人内野手(23)は2日、疲労の中に充実感をにじませた。「楽しくやれているが、すごく緊張する」。それもそのはず。首脳陣から付きっきりの英才教育を受け、気の抜きようもない1日を過ごした。

全体練習後の午後1時45分。1人、サブグラウンドで三塁の位置に。終わりが分からないノックが待っていた。「ラスト」と叫んで打球を処理し、1度は箱が空に。大の字に倒れこむが、奥からもう1箱。結局、1時間半ノックを受け続けた。他選手は別場所で練習していたが、辻監督はずっと渡部を見つめていた。捕球時の右足を置く場所、タイミングを意識し、苦手の守備改善に励んだ。

朝も早出で1時間のノックを受けていたが、これで終わりではない。いや、自ら終わらせなかった。全体練習の内容を反省し、「打撃練習をしたいです」と志願。すると、平石打撃コーチは「付き合うよ」と言い、松井ヘッドコーチも一緒に来てくれた。左足の意識を少し変えるなど濃密な指導を受け、詰まることが多かった打球を施した。

渡部は言った。「サードでレギュラーで出られるようにアピールしていきたい。中村さんがいるのはいい刺激。すごい中村さんを超えないといけない」。西武のサード。それは中村が長く君臨する特別な場所。それのスタメンを奪いにいく覚悟でいる。【上田悠太】