冬枯れの荒川の河川敷に活気あふれる声が飛び交う。手狭なグラウンドに似つかわしくない体格の選手たちは首都大学リーグ昨秋2位の武蔵大ナインだ。中島将喜主将(3年=前橋商)は「明るさが持ち味のチームなので、どんな状況でも学年関係なく元気にやれています。そこがウチのいいところです」と胸を張る。

年明けからコロナ禍で埼玉・朝霞市内の同大グラウンドを使用できない。地域の野球場を転々とし、週の半分は河川敷球場での練習だ。リーグ初優勝を目指す一線級の大学生たちが打撃練習を行えば、打球のほとんどが川に飛び込んでしまう。同球場を使用する際は守備の基礎練習ぐらいしか出来ない。それでも明るさを失うことはない。

15日の練習は鴻巣市内の球場を借りることが出来たため、今年初の実戦練習として紅白戦を行った。松崎公亮投手(1年=聖徳学園)が144キロを計測するなど、各選手がアピール。今月下旬から始まるオープン戦に向け調子は上向きだ。

同大野球部は4月に創部70周年を迎える。07年に阪神で新人王を受賞した上園啓史氏など、多くのプロ野球選手を輩出してきた。

一方、首都1部での優勝、全国大会の出場はいまだない。中島主将は悲願の初制覇に向け「とにかく目標は春秋連覇で、全国に何としてでも出たい。今年のチームは下級生の頃から出場していた選手が多くて、負けに対する悔しさを知っています。勝ちに対する執念がすごいです。形はどうであれ、勝てればいいと思っています」と、真っすぐな目で答えた。河川敷から神宮へ。記念すべき年に、歴史を変える。【阿部泰斉】