北京オリンピック(五輪)が閉幕し、いよいよプロ野球の熱気が本格化する。22日、各地で4試合の練習試合が行われ、計8本のアーチが飛び交った。ヤクルト村上宗隆内野手(22)は、楽天戦(浦添)に「4番三塁」で出場。4回の第2打席、安楽から左中間ソロを放った。新型コロナ感染から復帰後、初の対外試合で早速“らしさ”を披露して高津監督を驚かせた。23日には、ヤクルト-巨人(浦添)でオープン戦が開幕する。

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曇天を切り裂く力強い打球に、1200人の観衆がどよめいた。4回1死、村上は外角へ続いた直球の3球目、144キロをたたいた。逆方向へ飛び込む“今季1号”ソロ。

村上 あれがレフトフライでも僕は満足してますし、センターフライでも満足してます。

大事なのは、柵を越えたことではなかった。

1回2死一塁で迎えた第1打席は、昨夏の東京五輪でともに日の丸を背負った田中将と対戦した。「一緒にオリンピックも戦ってますし、去年までより楽しめた」と臨んだ打席は、一塁正面へのゴロに倒れた。「ちょっと引っかけてしまった。どういうふうに修正するんだっけ?」と意識しながら立ったのが、4回の第2打席だった。結果よりも内容。しっかり捉えられた逆方向へのアーチに、大きな意味があった。

とはいえ、それをスタンドインしてしまうパワーこそが4番。高津監督は「ちょっとびっくりしましたね、打つとは思ってなかったので。彼らしい、センターから左のいい打球だった」と目を丸くした。1月末に新型コロナに感染し、19日に2軍から1軍へ合流したばかり。試合に出すのも、もう少し先のつもりでいたくらいだ。

生きた球を見たいという村上の思いが尊重されてスタメンに名を連ねた。「こうして試合に出て、打席に立てたことがよかった。開幕戦で体のコンディションが一番になることがベスト」。打席に立つのは昨年11月末の日本シリーズ以来だった。実戦感覚を取り戻す。目的と意図がかいま見える1発になった。【鎌田良美】