ロッテ森遼大朗投手(22)が故郷宮崎での凱旋(がいせん)登板を果たした。

登板前も手に息を吹きかけていた。「今日は寒いです」。宮崎市から西へ40キロほどの、都城市の出身。家族や友人が応援に駆けつけてくれた。昔は応援する方だった。小学生の時から、ずっと野球が好き。春季キャンプも見に行った。

「よく見に行ってましたね。だいたい全部(のチームを)回っていました。宮崎市内で見て、日南市は次の日とか。固まっているところで」

逆の立場になってみて。「自分がちっちゃいころに見てた野球選手というところで、自分もそういう、誰かに憧れてもらえるような存在になっていけたらいいなとは思っています」。ゆっくりと口にした。

祝日とあって満員のスタンド。ネット裏では、野球帽をかぶった少年たちが地べたに座っていた。食い入るように見ていた。

 ◇   ◇    

同じロッテの小沼健太投手(23)にとっても、プロ野球のキャンプは感じるところがある。

2年前も3年前も、沖縄・宜野座村で球春を迎えた。BCリーグ・茨城に所属し、阪神キャンプでアルバイトをした。打撃投手、ティー打撃補助、球拾いと裏方の仕事に励んだ。

多くのファン、大勢のマスコミの前で打撃投手を務めた。「当ててしまったらどうしよう…」。そんなことさえよぎる。少しずつ仕事にも慣れ、2年目の参加では福留(現中日)の専属ティー上げ担当も務めた。

念願のNPB入りを果たし、背番号はまだ3桁ながら、選手としてマウンドに上がることができる。中継ぎ候補の1人に期待され、この日は終盤2イニングを無失点に抑えた。

「ひと言でいえば幸せですね。裏方で見る方も良かったと思うんですけど、こうやって選手としてプレーできて。野球が仕事ってすごく幸せだなって、あらためて思います」

思いを増幅させるためにも、まずは支配下登録へ。あの日接したレジェンドたちの域に達するまで、アピールは続く。【金子真仁】