ソフトバンクの今季スローガン「もっと!もっと!もっと!」にちなんだ日刊スポーツの企画「もっと!もっと!もっと!しゃべりタカ」に、新加入の育成右腕、藤井皓哉投手(25)が登場。実戦で快投を続け、背番号3ケタながら藤本監督に「完璧。勝ちパターンでも使える」と言わしめた。ベールに包まれた右腕の素顔や、NPB復帰への歩みを電話インタビューで語った。【取材・構成=只松憲】

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧

-まずは性格や人柄を教えてください

藤井 同級生の甲斐野や栗原のようなタイプとは違いますね。物静かな方だと思います。小さいころから人見知りはありました。慣れていけばって感じですね。これから作っていけばいいと思っています。

-20年オフに広島から戦力外通告を受けた

藤井 「あぁ来たか」って感じでした。元々覚悟して入ったシーズン。8月終わりから9月にかけて、ファームでの起用法で何となく「最後かな」って思いました。僕のイメージですけど、広島はファームで後ろをやってるピッチャーが1軍に上がりやすい。中継ぎであれば7、8、9回。基本的にそのころの僕は、バックアップとか先発が崩れたときに投げることが多かったので。

-その後、四国IL・高知に入団した

藤井 「もう1回NPBに行くなら来たほうがいい」と言われたので。社会人野球の道もあったけど、そういう話をしてもらった。独立リーグの良さは、移籍期限内であればいつでも復帰できるので。でも、お金や環境面を考えると悩みました。

-悩みながら、なぜ高知への入団を決めた

藤井 このまま終わったら負けだ、という気がした。感覚的な話ですが、もう1回、もしNPBに復帰できたら変わるんじゃないかなとか、違うものが得られるんじゃないかなと。

-見られなかった景色が見られる気がした

藤井 そうです。あとは、どうせなら厳しい環境でやってみたかった。人がやったことないことにチャレンジしてみたかった。20年は歳内さんがNPBに戻って、今年は僕が戻りましたが、それまでは独立リーグからNPB復帰というのはほとんどなかったことなので。自分でレールを敷いてみたいなと。僕は何かを選ぶ時も人と同じものが好きじゃないので。

-高知での日々は

藤井 「野球を楽しもう」「野球少年になろう」と。広島の時、最後の方は野球があまり楽しく感じなかった。でもそれは、その時に一生懸命だったからそれが正しいと思ってたけど、クビになってから気がついたんです。クビになって、いろいろ考えてる時に、野球って昔は楽しくて始めたのにって思ったんですよ。それがいつしか「職業」になってしまった。自分で苦しくなってた。高知では、野球を楽しもうと思って。そういう感じでした。

-今キャンプは3試合で計11三振を奪うなど、好投を続けている

藤井 ソフトバンクのキャンプの流れやシステムが分からない状況だったけど、順調に来ているかなと思います。A組とかB組とか関係なく、しっかり自分のボールを投げようと思ってきたので、最後まで自分のボールを投げます。

 

◆藤井皓哉(ふじい・こうや)1996年(平8)7月29日、岡山・笠岡市出身。小3から大井若草スポーツ少年団でソフトボールを始める。おかやま山陽では2年秋からエース。14年ドラフト4位で広島に入団。通算14試合に登板し、1勝0敗、防御率7・94。20年オフに戦力外となり、昨季は独立リーグの四国IL・高知に所属。通算22試合に登板し、2完封含む3完投で11勝3敗、防御率1・12。21年12月にソフトバンクと育成契約を結んだ。183センチ、89キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は550万円。