チーム最年長の阪神糸井嘉男外野手(40)が、甲子園の空に豪快なアーチを描いた。

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「6番DH」で先発。1点リードの4回1死二塁、追い込まれて3球ファウルで粘ってからの8球目、楽天滝中の真ん中139キロを強振。161キロを計測した打球はバックスクリーンへ一直線。ダイヤモンドを1周し、本塁付近で待ち受けていた二塁走者の近大の後輩、佐藤輝にピョンと跳んで両手でハイタッチし、白い歯をこぼした。

「追い込まれてから、変化球をファウルで粘れて、真っすぐに対応できたという内容がよかった」

飛距離120メートルを記録した1発は今季チームの本拠地1号となった。1万1165人が駆けつけた甲子園での1発に「やっぱりお客さんが入った甲子園は最高。それは誰もが分かっていることなので、気持ちいいです」とニヤリ。ただ、気温10度前後の中での試合に「この時期は外が寒いので、40歳になると、体…動けへん!!」と糸井節でシャウト。「ちょっとアップ長めにしたり、いろいろやってますけど」。寒さ対策とケガ予防への準備を徹底し、今季実戦1号につなげた。

2年ぶりの開幕スタメンへ、大きなアピール弾となった。春季キャンプでは初日からフルメニューをこなすなど、精力的に取り組んできた糸井の1発に矢野監督は「いいホームランだったし、キャンプから嘉男の姿勢はずっと見本になってくれているし、よくやってくれてる」と評価した一方で、ロハス、島田、江越、小野寺と争う左翼の開幕スタメンについては「全然決まってない。まだまだ試合が残っているんでね」とさらなる競争を促した。

40歳を過ぎてから開幕スタメンとなれば、球団では20年福留(現中日)以来5人目。40代でのスターター返り咲きは球団では史上初だ。糸井は「目指してますけど、自分の納得いく1日を過ごして、それを継続していくだけです」と淡々と話した。衰え知らずの超人のバットが、チームに強烈な刺激を与えている。【古財稜明】

▼阪神で満40歳となって以降に、開幕戦でスタメン出場した選手は過去4人。49年若林忠志、75年アルトマン、09~12年金本知憲、18~20年福留孝介。

▼30代で開幕スタメン経験のある糸井が、今季の開幕戦にスタメン出場復帰を果たせば阪神では初となる。球界全体で見ると、野手では18年の開幕時に42歳のロッテ福浦和也が、37歳だった13年以来5年ぶりに開幕戦で先発して以来。なお開幕投手では、20年に40歳のヤクルト石川雅規が、37歳の17年以来3年ぶりに務めた例がある。